第103話 隠し階段の先にいたのは
ラーパのおばさんを倒した後、私とティノちゃんは隠し階段を上がって上の階へ向かった。扉を蹴って開け、目の前の光景を見て驚いた。そこで見たのは、大量のストッパーブレイクを運んでいるジャッジメントライトの連中。奴らは私とティノちゃんを見て、一斉に武器を構えた。
「エクス・シルバハートとティノ・オーダラビトだ!」
「とにかく銃で撃て! 下手な鉄砲もまぐれで当たることがある!」
奴らはそう言って一斉に銃を撃った。ティノちゃんは素早くバリアを張り、飛んでくる弾丸を防いだ。
「こんな安物の弾丸では、私のバリアを壊すことは絶対に不可能ですよ」
ティノちゃんはそう言ってバリアを消し、小さな氷柱を作り出してジャッジメントライトの連中に向けて放った。
「うわあああああ!」
「なっ! は……早い!」
「銃を使って氷柱を壊せ!」
「無理です! 氷柱が硬すぎて弾丸では壊せません!」
ティノちゃんが放った氷柱によって、ジャッジメントライトの連中はあっという間に倒された。
「エクスさん。ギルドの戦士の皆さんが先に向かったはずですが、一体どこにいるんでしょうか?」
「そうねぇ。この部屋にはいなさそうね。他の部屋にいるかも」
私がそう言うと、扉が開く音が聞こえた。その音の方を見ると、異様な雰囲気を放つジャッジメントライトの戦士が現れた。どうやら、ストッパーブレイクを使ったようだ。
「グアアアアアアアアアア!」
ジャッジメントライトの戦士は奇声を上げながら、私に襲い掛かった。私はジャッジメントライトの戦士の攻撃をかわし、腹に向かって蹴りを放った。力を込めて蹴りを放ったが、ジャッジメントライトの戦士は嗚咽しながらも再び私に襲い掛かった。
「やっぱり蹴りだけじゃあ倒れないか」
「ストッパーブレイクのせいですね」
私とティノちゃんは冷静に話をしながら襲ってくるジャッジメントライトの戦士を対処した。ティノちゃんは水を放ち、ジャッジメントライトの戦士を凍らせて動きを封じ、その隙に私がジャッジメントライトの戦士を攻撃した。
(二人とも。いいチームプレイだが、まだ奴らは立ち上がるぞ)
ヴァーギンさんの言葉を聞き、私とティノちゃんは倒れたはずのジャッジメントライトの戦士を見た。ヴァーギンさんの言う通り、きついダメージを負ったはずの戦士たちは苦しむ様子を見せずに立ち上がっていた。
「エクスさん。どうやらあの時の戦士よりも、強力なストッパーブレイクを使われたようですよ」
「立ち上がるんだったら、倒れるまでやるだけよ。ティノちゃん、根性出せる?」
「最初から全力で出しています。まだまだいけます!」
「オッケー! それじゃ、ササッとあいつらをやっつけるよ!」
私とティノちゃんは魔力を解放し、再び立ち上がるジャッジメントライトの戦士に攻撃を仕掛けた。
隠し階段を上がって数分が経過した。エクスとティノによってストッパーブレイクを使われたジャッジメントライトの戦士たちは皆倒れた。再び立ち上がるのではと俺は思ったが、奴らは完全に動けないらしく、うめき声を上げているが手足を動かす様子はなかった。
「ふぅ。もう動けないようですね」
「油断しないでティノちゃん。まだ同じような奴らもいるって可能性もあるわ」
「はい。でも……魔力を感じませんね」
ティノの言う通り、エクスとティノがあれだけ騒いだというのに、辺りは静かだ。もし、エクスとティノの存在を知ったとしたら、援護で来るだろう。だが、奴らの仲間は来なかった。
(何か企んでいるかもしれない。それに、他のギルドの戦士のこともある。最悪の事態を考えた方がいいな)
(ギルドの戦士たちがストッパーブレイクを使われて、戦闘マシーンになるってことですね。その可能性もありますね)
(ない方がいいです。ギルドの人たちと戦いたくありません)
(ティノちゃんの言う通り。私も同じ気持ち)
俺たちは話をしながらも、次の部屋へ向かった。扉を開けた直後、強い魔力を感じた。エクスはすでにその魔力を感じており、剣で奇襲を防いだ。
「ストッパーブレイクを使っても、卑劣な手を使うほどの頭は残っているようね」
エクスは横を見て、奇襲を仕掛けたジャッジメントライトの戦士を睨んだ。ストッパーブレイクを使った他の戦士と同じように、視線が変な方へ向かっている。だが、エクスとティノを攻撃するという考えは残っているようだ。
「ウガアアアアア!」
ジャッジメントライトの戦士は武器を捨て、エクスに飛びかかった。エクスは後ろに倒れ、そのまま飛びかかったジャッジメントライトの戦士を足や手を使って後ろへ投げ飛ばした。
「ティノちゃん! 次が来るわよ!」
エクスの言葉を聞いたティノは周囲を見回し、武器を持ったジャッジメントライトの戦士の存在を確認した。
「数が多いですが……今の私には敵の数なんて関係ありません!」
ティノはそう言うと、杖を振り回して火の玉を発した。ティノが発した火の玉はジャッジメントライトの戦士に向かって飛んで行き、命中して破裂した。強烈な火花が周囲に舞ったが、それでもジャッジメントライトの戦士は倒れなかった。
「ティノちゃんが放った火の玉でも倒れないわね」
「相当薬のせいで強くなったみたいですね。それか、更に改良を加えてこうなったのか……」
「その通りですよ」
突如、奥の方から声が聞こえた。この声は聞き覚えがある。この声の主は……アソパだ!
アソパの奴が拍手をしながら私たちの元へ歩いてきた。この野郎、すっとぼけた表情で近付きやがって!
「久しぶりですね、エクス・シルバハート」
「その通りね。今すぐにあんたを斬ってやるわよ!」
私は剣を構えてこう言うと、アソパは笑いながら手を振った。
「勘弁。まだ俺はやられるわけにはいかないんだ」
「あんたの言うことを私が素直に聞くと思ってんの?」
私は叫びながらアソパに斬りかかった。私の動きを見たアソパは防御の構えを取ったが、刃が当たる寸前に後ろに下がった。
「三年間姿を見せなかった間、かなり強くなったようだな」
「その通りよ。あんたらジャッジメントライトを斬りまくるために強くなったのよ」
「そのために三年も時間を無駄にするなんて……愚かだ」
「無駄じゃないわよ。無駄かどうかは私が判断するの」
「そうですか」
と言って、アソパは後ろを振り向いて歩き始めた。
「おい! あんた私たちと戦いに来たんじゃないの?」
「冗談。うるさかったから見に来ただけですよ。君たちの相手はジャッジメントライトの優秀な戦士たちがしてくれるんでね」
アソパがこう言うと、ジャッジメントライトの戦士たちは威勢のいい声を上げ、私とティノちゃんに襲い掛かった。
「待て!」
「それじゃあ言われた通りに待つとしよう。君たちが俺たちの優秀なジャッジメントライトの戦士の手によってズタズタに引き裂かれて命を落とす所を、この目で見てあげよう」
と、アソパは笑いながらこう言った。すぐにあの野郎の顔を一発殴って両腕両足斬り落とした上、男の大事な部分を根元から斬り落としたい気持ちでいっぱいだが、今は襲い来るジャッジメントライトの戦士を倒さないといけない。
「ティノちゃん! ちょっとだけ強い魔力を使って! こいつらをすぐに倒して、アソパの野郎の顔面を一発ぶん殴るわよ!」
「了解です! 秒で片付ける気持ちで行きます!」
(ヴァーギンさん、雑魚が相手ですが、すぐに片付けたいので力を借ります!)
(思う存分に俺の力を使え! 早くアソパの奴を倒すんだ!)
(はい!)
私はヴァーギンさんを鞘から抜き、迫りくるジャッジメントライトの戦士に向かって振るった。ティノちゃんは魔力を解放し、強烈な火炎の竜巻を放った。そのおかげで、あっという間にジャッジメントライトの戦士は倒された。さて、次はアソパの番だ!
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