第140話 どうやら疑問に思ったらしい

 俺の両親はともに教師で、考え方が堅い。

 その息子である俺は、勉強は苦手じゃなかったが、性には合わなかった。

 心を満たしてくれるのは音楽だった。気の合う連中とバンドを組んだ。担当はキーボード。

 学校を卒業する前、迷ったけれど、その道を続けていく決心をした。

 親には、絶対に賛成してくれないと判断し、何も言わなかった。

 二人は驚いただろう。何も知らずに息子がテレビの音楽番組に出てきたのだから。

 その後すぐに、電話をよこした。

「典之、あなた——」

 怒るのか、認めてくれるのか、と俺は緊張して続きの言葉を待った。

「あれ、ちゃんと弾いてた?」

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