第80話 お弁当

 私は現在、小学六年生。学校は給食だが、弁当を持っていくときもあり、その際は憂鬱だ。

 なぜなら、母に料理をする意欲がまったくないから。

 私も欠点はあるし、下手でも愛情がこもっていればいいのだ。

 しかし、いつも市販品を詰め込んだのが丸出しで、ヘコむのである。

 が、何がきっかけか、母は料理に目覚めた。これでお弁当もと、私は喜んだのだが……。

「好美。なに、お弁当隠して食べてんの?」

「いや、うちの親、ちょっと料理が……」

「ああ、うちも苦手だから気にすることないよ……って、なに、それ?」

「ンボンニャ王国の家庭料理のズベベっていうんだ。見た目グロテスクだけどおいしいよ」

 母は凝ると、どこまでも手を伸ばすのだった。これなら前のほうがよかった!

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