第69話 豹変

「準一兄さん。俺、兄さんと同じ会社を目指すよ」

「ああ? お前、ガキじゃあるまいし、学校くらいならまだしも、同じとこなんてやめろよ」

「いいじゃないか。兄さんの会社、素晴らしいだろう?」

「ケッ、勝手にしろ。ただし、俺は一切手助けしないからな」

 それから十年の歳月が流れた。

 彼ら兄弟には姉がいて、ずっと海外暮らしだったが、久々に家に帰ってきた。

「啓二ちゃん。お肩を揉みましょうか?」

「ど、どうしたの? 準一のあの態度は」

 彼らの母親が姉に答えた。

「啓二が、人事部に配属になったものだから」

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