第70話 意地っ張りなあいつ

「え? 井岡が辞めた? どういうことだよ?」

「あいつ、キャプテンと練習のやり方とかチーム作りで揉めてたろ。それでキレて」

 井岡は俺たち野球部のエースピッチャーだ。

 あと一歩だった甲子園という忘れ物を今年こそつかみ取ると誓い合ったのに……。

「井岡!」

 井岡が、今俺たちがいる部室に現れた。

「忘れ物を取りにきた」

「よかった。冷静になったんだな」

 井岡は自分のスパイクを手にして、出ていった。

 本当に忘れ物を取りにきただけだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る