第十二話 データとエラー
:え、無料で推定美少女の個人情報を教えてくれるんですか!?
「うーんこのお排泄物なコメント……。若干不安なところもありますが、れんれんさんのを開示します。なおプライバシー保護の観点から一部情報をマスクしたり改変しております。悪しからずご了承ください」
「ご了承ください……も、申し訳ございません!」
:ええんじゃよ、ホッホ。
:よいよい。ういうい。
:全てを許そう(菩薩の笑み)
:清楚系美少女のオーラに魂が薄汚れたライバーズが浄化されてる。
:これが黒鉄だけだったら多分罵声の嵐だったな。
「納得いただいたところでそれじゃデータをドーン!」
「ど、どーんです!」
【基礎データ】
名前:れんれん(仮)
性別:女
種族:魔女(?)
位階:21
所属:■■■■■■■■■■■
【スキル】
《■■■》
《黒の■婦》
《射撃(初級)》
《危機感知》
《逃げ足》
【耐性】
耐性:物理、闇
弱点:光
:データ出たか。
:所属とか黒塗りだな。
:名前も(仮)だし。
:顔を隠した配信で個人情報出す訳ねーだろ。隠したい情報はそら塗り潰すよ。
:一部しか見えないが一部だけで大分おかしいな。
「見る人が見れば分かるユニークなステータスですよねー」
:確かに。よく見ると結構首を捻る箇所があるわ。
:《黒の■婦》みたいな一部だけ黒塗りなのは?
:全部黒塗りの謎スキルなんなん?
:全黒はそのまま解析不能ってことだと思う。
:というか種族:魔女 (?)
:アニマ姐さんの同類か……え、嘘だろ?
:お前いまどこ見て言った?
:くれぐれも言葉に気を付けろ。縁一つ、仕草一つで呪えるからなあの人。
:待って、Lv.21で
:この耐性はそれでか。種族:人間は普通耐性なしだもんな。
:才能の塊じゃんかよ。黒鉄が目を付けるのも分かるわ。
:それもあるが(?)はなんだ? 魔女じゃないのか?
「ふっふっふっ、気になりますか?」
:腕を組んで謎のドヤ顔。
:もったいぶらずにはよ言えや。お前が始めた配信でしょ。
「分かりました、答えましょう――――――――みそPがね!」
:君さぁ(溜め息)
:いやまぁ確かにみそP以上の解説役はいないだろうけどね?
:そのドヤ顔一体何をドヤってたの?
「という訳でみそPよろしく!」
:この愚弟……。まあいいけど@みそP
:苦労してんなぁ姉貴面院。
:結論を先に言うけど種族:魔女(?)も《黒の■婦》もアナライズが不完全だったことを示すエラーだね@みそP
:エラー? 不完全?
:え、そんなことあるの?
:あるの@みそP
:よく分からん。
「みそP、もうちょっと詳しい解説よろしくー」
:了解。つまり一口にアナライズと言っても色々種類があって解析の方法や開示情報に差がある@みそP
:ほうほう。
:意外とみんな知らないアナライズの仕組み。
:というか専門でもないとあんまり覚える意味がない。
:特に迷宮攻略支援AI《霞ミル》に代表される機械式アナライズは情報収集機器の採取データをデータベースと照合して一番近似するデータを表示しているからこういうエラーが出やすい@みそP
:つまり?
:魔女 (?)は魔女っぽいだけで厳密には別種族ってこと@みそP
:《黒の■婦》みたいな一部黒塗りのスキルは?
:過去に採取したデータはあるけど解析が不完全だったから一部が黒塗りになってると思われる@みそP
:長い。三行でまとめて。
:アナライズも完全じゃない。
表示エラーは完全一致する情報がない場合は近似する情報を表示するから。
れんれんはレアスキル持ちの珍種族@みそP
:珍種族www
:ひでえ言い草www
:最後の珍種族が全部持ってったwww
:キチンと三行でまとめてんのにwww
:以上。あとは自分で調べて@みそP
:うーい。
:最後は投げっぱなしかい。
:まあそういうチャンネルじゃないしな。
:でもみそPの《遍く照らす大眼》なら全部まるっとお見通しができるんじゃね?
:まあやってもいいけど@みそP
:けど?
:妙に溜めるな。
:なんとなくやらない方がいい気がするからやらない@みそP
:なんとなくて。
:あと単純にれんれんのプライバシーが丸裸になる@みそP
「それだけはおやめくださいっ!」
:全力の拒否。
:これは妥当。
:みそPの《遍く照らす大眼》、一体どこまで視えるのか知りたいような知りたくないような。
:前に前世が見えるとか冗談交じりに言ってたけど。
:冗談、だよな?
:冗談に決まってるでしょ@みそP
:だよなー! いや良かった。
:前世が見れるなら配信越しにこっちの情報抜くくらいはやってきそう。
:ある意味究極のプライバシー侵害。下手な高レベル冒険者と喧嘩するより恐ろしいわ。
:そういうことになってるから@みそP
:おい。……おい!
:これも冗談ですよね? ……ねっ!?
◆
「それじゃ場も温まったところでそろそろメインのダンジョン攻略に移りますか」
:温まった?
:むしろ冷えッ冷えにならなかったか?
:大丈夫? 皮膚感覚ぶっ壊れてない? 空気読めてる?
「僕らがいま来ているのはDランク迷宮の《地下世界の入り口》。典型的な洞窟型のダンジョンですね。しばらく間引きすら行われておらず、《
:スルーしやがった。
:このショタこういうとこあるよな。
:Dランクの《
:ほんと今の日本ってギリギリのバランスで平和を保ってるよな。
:あ、ここ知ってる。暗いけど道は広いし敵もそんなに強くないから楽だった。交通の便は糞だが。
:楽?
:Dランク迷宮を攻略できる冒険者なぞ2割もいないんだが?
:壁越えかよ化け物が。
:相変わらずしれっと上澄みが出没するチャンネルだぜ。
「パーティ基準の攻略推奨Lvは18。今のれんれんさんだとちょっと難易度が高いかな。闇属性を生かしつつ弱点を突かれないここをチョイスしました」
:闇系と光系はお互い弱点同士が多いからなぁ。
:教会あたりだと天使が出るから噛み合うが、リスクもデカい。
:向こうの攻撃も大ダメージだからな。
「まあピンチの時は僕もいます。リラックスしてほどほどに頑張りましょう!」
「お、お手を煩わせないよう頑張ります!」
:でも冷静に考えてソロはやばくね?
:そもそもダンジョンはソロで攻略するもんじゃないんだよなぁ。
:基本大和君は手を出さないんだろ?
:危ない時は別だが。
:ぶっちゃけリカバリー利く時点で大分ヌルいゾ。
:意見百出って感じ。
「失敗は成功の母とも言いますし、とりあえずやってみましょう!」
「はい!」
:うーん、この思い付きのガバガバ進行。
:ぶっちゃけ企画立てるアイデア力は特に高くないんだよな。似たような配信はこれまでも何度かやってるし。
:それでも本人やゲストが持ってる星の巡りがヤベェから盛り上がるんだが。
:冒険者以上に配信者としての才能に溢れすぎてる。
:あ、洞窟の奥に行くぞ。
:攻略開始か。
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