第4話〜ザクロとクマ耳の少女
彼がくれた名前。 これがあるならきっと大丈夫。
そう思った魔女はいつしか長くなった自慢の黒髪を短くし。
髪を紫に染め、黒曜石のような瞳をもらった名前と同じザクロ色にしました。
「これなら気づかれない…でも声を出したらいけない」
そう思い、まるで少女がこの森にくる以前から好きだった人魚姫のように、声を出さず身振り手振りや筆談で話すようにしました。
ある日のことです。
困り顔でキョロキョロとしているクマ耳の少女がいました。
『どうしたのですか?』
筆談で話しかけます。
「クマはこの森で大道芸をしようと思ったクマ。
けど、お客さんが全然来なくて困ってるクマ…」
看板はあるけれど、いまいち何をしてるかが分かりづらいものでした。
『少し待ってね』
そういうとザクロは持っていたスケッチブックにクマ耳の少女の絵や大道芸の内容などをサラサラと描き、簡単な看板とポスターを作りました。
『このポスターを掲示板に貼ってきますね』
それを見せて、森の掲示板へと向かいました。
その後、クマ耳の少女の大道芸は評判が良くなった、と風に噂に聞きました。
良かったなあ、と森のパン屋さんに出かけるザクロ。
角を曲がった瞬間、ドン、とぶつかったのはなんとクマ耳の少女でした。
「ザクロ!!!ありがとうクマ!
ザクロのお陰クマ!」
ぎゅううっと抱きつくクマ耳の少女。
「いたたあ…」
思わず声を出してしまいました。
「え?ザクロは喋れるクマ?」
「うん、実は…」
少し照れくさそうにいうザクロを見て、
「喋るといいクマ! ザクロの声はなんだか落ち着くし、素敵な声クマ!」
と、笑いかけてくれました。
クマ耳の少女には勇気をもらった気分です。
そうして2人は大親友になりました。
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