第23話「真の闇」

ブリザードタイガ=増見陽介も闇に飲み込まれ残るはダークウルフ=夜月大我のみとなった。

しかし、大我は戦意を喪失しヴァラルガンの前から逃げ出した。


世界はこのまま闇に飲み込まれてしまうのか?


大我はフラワー園に戻り布団の中に潜り込んだ。

大我は布団の中でぶるぶると震えていた……。


「ちょっと……大我どうしちゃったの?陽介君は?」

愛が心配そうに声を掛けるが、大我はただ震えるだけで何も答えない。


「あんな大我初めて……」


闇の侵食は続いていた。

人々は建物の中に隠れたり遠くへ逃げたりと何とか闇から逃れようとするが、それも全て無駄だった。

闇の侵食は留まる事を知らず建物も人も全てを飲み込んで行った。


フラワー園でも子ども達が不安そうにしている。

「皆……大丈夫。きっと大丈夫よ」

愛が子ども達を慰める。


貴明は必死にパソコンを直そうとしていた。

「あ〜クソッ……ここも……ここもか……」

そこに竜一が……。

「なぁ……」

「ん?竜一……君?何?」

「俺のレオチェンジャー直せないか?」

竜一が『レオチェンジャー』を差し出す。

「一応やってみるけど……期待はしないで……」

貴明は受け取って中を調べてみる。


「ごめん……構造が複雑で……僕にはちょっと……大我の方が分かるかも知れないんだけど……」

「そうか……だが、大我があの状態じゃな……」

「うん……まさか大我があんなに脅えるなんて……今までどんなゾンバットにも勇敢に立ち向かって行ったのに……」

「それとは全く次元の違う相手だと言う事だ……奴の圧倒的な力……威圧感……それだけで恐怖を感じる……無理も無い……」

「うん……そう……だね……」


竜一が窓の外を見つめる。

「闇がここまで届くのも時間の問題か……」


そこに一機のヘリが近づいて来るのが見えた。

「ん?アレは……」


そのヘリはフラワー園の庭に着陸した。


友子が出迎える。


するとヘリから降りて来たのは神楽木長官……いや、神楽木守人だった。


「あの……ウチに何か御用ですか?」

「ええ……夜月大我君に会いに来たのですが……」

友子に案内され神楽木は中へ通される。


竜一がやって来る。

「神楽木さん……あんたが何をしに?」

「竜一君、お久しぶりですね……今世界に危機が訪れているのはご存知ですよね?」

「ああ……闇が人々を飲み込んでるこの現象の事だろ?」

「ええ……それもヴァラルガンの仕業と言う事も分かっています。そこで大我君に会いに来たんですが……」

「正直俺も戦える状態じゃないが……大我もどうかな……」

「それはどうゆう意味ですか?」


「ほら大我!!こっち来なさい!!」

「なっ……なんだよ愛姉!?やめろよ……」

愛が大我を無理矢理連れて来る。


「やぁ、大我君」

「!神楽木……さん……一体どうして?」

「君に話があって来ました」

「そもそもこの半年間どこに行ってたんだ?」

「それも踏まえてお話しましょう」


そして、神楽木は語り始めたーー


ゾンバットとの戦いが終ってからもヴァラルガンをまだ倒せていない事に気付いた神楽木はヴァラルガン打倒の為に新たな装備を開発する研究を初めていた。

世界各国を回り各分野の科学者に協力を仰ぎながら新装備を開発していたのだ。


「そして、遂に完成したのが、このアイテム……ダークネスアクセラレーターです」

「ダークネスアクセラレーター……」

「ヴァラルガンの全てを飲み込んでしまう闇の影響を受けないのは同じ闇の力しかない。だが、闇の力を使うにはダークウルフしかない。だから大我君の力が必要なんだ」

「大我にしか扱えないって事か……」

竜一はそう呟く。

「……だが……俺は……」

「大我!!」

愛が急に大声を出す。

「なっ!?なんだよ……」

「大我しか世界を救える人は居ないんだよ?なのにその大我が怖気づいててどうするの?」

「そんな事言われても……」

「大我はいつも誰かを守る為に必死に戦って来たじゃない!なのに何で今度は逃げるの?」

「それは……怖いんだ……今までに無い位のどうしようもない恐怖に襲われて……初めて……戦うのが怖いって思った……」

「……そんな大我……見たく無かった……」

「大我……お前が戦うのが怖いって言うならそれは仕方ねぇ……だから俺が戦う。だからせめて俺のレオチェンジャーを直してくれ!それぐらい出来るだろ!?」

「待て……ライトニングレオでは闇の力を引き出せないし死にに行く様なもんだ……無謀な事はやめろ!」

「うるせぇ!!……俺は最後まで戦うぞ!理沙を……皆を守る為に俺は絶対に逃げねぇ!!」

「……分かった……修理はしよう……だが今の俺が戦うのは本当に無理だ……少し時間をくれ……」

大我は竜一から『レオチェンジャー』を受け取り部屋に戻った。


その間にも闇の侵攻は進んでいた。

一体どれ程の人々が闇に飲み込まれた事だろか……。


「はぁ……まさか大我君が戦えないなんて……思いもしなかったな……」

「でも……世界を救えるのは大我しか居ないんでしょ?だったら何としても戦って貰わなくちゃ……」


3時間後……。


大我はようやく部屋から出てきた。

「出来たぞ……」

大我は『レオチェンジャー』を竜一に渡した。

「おう……お前が戦わないなら俺が奴を倒す……いいな?」

「ああ……出来る事ならそうしてくれ……」

大我は再び部屋に戻って行った。


「はぁ……もう〜大我はしょうがないな〜……」

愛は頭をボリボリと掻きながら言う。

「仕方ないさ……奴はこれまで良く戦って来た。まぁ、ゴッドゾンバットとの戦いの時は美味しい所持って行かれちまったからな……今度は俺が活躍するぜ!」

そう言いながら竜一は準備を整える。


「もう戦いに行くの?」

「ああ……これ以上奴を野放しには出来ないからな……」

そこに貴明が部屋から出て来た。

「待って!やっとパソコンが直ったよ。ヴァラルガンの居場所分かるかも知れない」

「おっ?ゾンバットじゃ無くても分かるのか?」

「うん、ヴァラルガンの闇の力を察知出来る様に修理ついでに改良したんだ」

「さっすが貴明!」

「ちょっと待ってて……」

貴明がパソコンを操作する。

「分かりそうか?」

「うん……ってちょっと待って……ここに来る!?」

「えっ!?」

貴明の読み通りヴァラルガンはフラワー園の庭に現れた。

「フフフッ……ダークウルフが居るのはここかぁ……なら消えて貰うか……」

「クソッ!先手を打たれたか……」

竜一が外に出て行く。

「あっ、ちょっと!大丈夫なの?」

「いかん!彼の装備では奴を倒せない……」


「ヴァラルガン!今度こそお前を倒してやるぜ!」

「お前は……一度俺に負けただろ?戦えるのか?」

「へっ、ほざけ!俺はもうお前なんかに負けねぇ!!」

竜一が『変身』

ライトニングレオが『サイクロンフォーム』で登場。

「覚悟しろ!!」

ライトニングレオがヴァラルガンに戦いを挑む。


ライトニングレオは雷と風の力を駆使し怒涛の攻撃を叩き込む。

だが、ヴァラルガンはビクともせず佇んでいた。

「何っ!?」

「お前の攻撃は全て俺の闇に吸収される……何をやっても無駄だ」

「クソッ……だったら!!」

ライトニングレオは肉弾戦に持ち込む。

だが、ライトニングレオのパンチはキックは尽く受け止められる。

「ぐっ……」

「だから……お前ごときじゃ……俺には勝てないんだよ……」

ヴァラルガンは闇のエネルギーを掌に集め始めた。

「ぐっ……」

「まずい……ゼロ距離でアレを喰らったら……」

「消えろ……」

ヴァラルガンは闇のエネルギーをゼロ距離でライトニングレオに放った。

「ぐわぁぁぁっ……!?」

ライトニングレオは大ダメージ。


ライトニングレオの変身は解除され竜一が倒れる。


「くっ……そっ……」

「フフッ……闇の世界へのお迎えが来たぞ……」

「や……やめろ……」

竜一に闇が迫る。

「うわぁぁぁぁっ!?」

竜一は闇に飲み込まれた。


「そんな!?」

「お前達もだ……」

ヴァラルガンはフラワー園の建物に近付く。

「皆……逃げろ!!」

神楽木が声を掛ける。


だが、あっという間に子供たちも友子も、愛も貴明も……そして神楽木も……。

全員が闇に飲み込まれてしまった。


異変に気付いた大我が出てくる。

「皆……何があった!?」

だが、そこにはヴァラルガン以外誰も居なかった。

「皆……そんな……」

「夜月大我……お前の仲間はもう誰もいない……絶望の中この世界で生き残るか?それとも闇に飲み込まれてお前も消えるか?どっちがいい?」


「き……貴様……」

大我の心の底から怒りがこみ上げてくる。


「お前は……俺が倒す!!」


再び戦う事を決意した大我。

次回、遂に最終決戦。


続く……。

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