第16話「強敵!上級ゾンバット!」

神楽木長官と約束の朝が来た。

大我達はヒーローズグランプリの会場に再び集まった。


「皆さん、再びお集まり頂きありがとうございます。こちらも出発の準備が整いましたので早速向かいましょう」

「向かうって何処に?」

竜一が尋ねる。

「エリアゼロの最深部……エターナルコアを目指します」

「エターナルコアか……それって確か中央タワーの地下にあるって聞いた事があるが……」

「ええ……もともと研究施設だった中央タワーの地下深くにエターナルコアは保管されています。ゾンバットはそこを根城にしているのです」

「いよいよ敵の本陣に突入するって訳か」

「勿論それだけ多くのゾンバットが居るでしょう……それに……大我君の報告によると上級ゾンバットと名乗る者も現れたとか……」

「ああ……」

「上級ゾンバット?何だそれは?」

「初めて聞いたぞ……」

「どうやら進化体のゾンバットの更に上を行く存在らしい。意思を持ち人の言葉を話す事も出来る……そして強い……」

「そんなものまで……」

「だが相手が誰であろうが負ける訳には行かねぇ!さっさと乗り込んで決着着けようぜ!」

「そうですね……皆さん、健闘を祈りますよ」

神楽木長官はヘリを用意。

「さぁ皆さん乗って下さい。向かいますよ?決戦の地へ」

大我達はいよいよゾンバットとの最終決戦へ向かう。


ヘリは大我達を乗せエリアゼロの中心部を目指す。


「……」

大我は窓の外を見つめ何やら考え事をしている様だった。

「大我!」

竜一が声を掛けた。

「!え……?」

「そんな深刻そうな顔するな。どんな強敵が相手でも俺達は負けねぇって」

「ああ……」

「そうだよ。俺達はゾンバットと戦う為に集まったんだから!皆で力を合わせて戦おうぜ!」

悟も大我を元気付ける。

「お前ら……ああ!そうだな!」


「見えて来ましたよ」

神楽木が声を掛ける。

そしてその先にはエリアゼロの中心部。

エターナルコアがある研究施設が見えて来た。

「アレが……エリアゼロの中心部……始めて来たぜ……」

「ああ……あのタワー自体は南エリアからも見えてたけどな……」

「エターナルタワーですか……元々はエターナルコアのエネルギーを電波に乗せて街中に発信させる目的で作られた物ですが……今は研究施設含めゾンバットの巣窟となっています……誰も近付く事は無いでしょうね……」


エリアゼロの中心部にそびえ立つエターナルタワー。

それが大我達の決戦の地だ。


そして、神楽木透真は大我達が近付いてる事を感知していた。

「いよいよ来たか……さぁ、君達の出番だ……」

神楽木透真はタランチュラゾンバットの他にコブラゾンバット、スコーピオンゾンバットと毒の性質を持つ上級ゾンバットを従えていた。


「増見君、君はどうする?」

「フンッ……暫くはお手並み拝見と行こう……」


大我達を乗せたヘリがエターナルタワーの前に着陸。

「着いたか……」

「しかし……周囲にゾンバットは居ないな……」

「確かに……もっとゾンバットがうようよ居ると思ってたけど……」

「恐らく我々が来る事を見越してエターナルコアの守りを固めているんでしょう。さぁ、皆さんが目指すのはエターナルタワーの最深部です。そこにあるエターナルタコアの破壊が最終目的です」

「破壊?破壊していいのか?」

「ええ……人類の希望になるかと思った代物ですが……ゾンバットに利用され続ける位ならいっそ破壊してしまいましょう」


「……よし、皆行こう!」

大我の声掛けに竜一と悟も身構える。

「皆さんの健闘を祈ります」

大我達はエターナルタワーの中へ歩みを進める。


いよいよタワー内部へ突入……。


電力の通って居ないタワーの中は薄暗く足元も見えづらかった。

「暗いな……皆、気を付けろ」

「ああ……」

一歩ずつ慎重に歩みを進める大我達……。

「しかし意外とゾンバット居ないなぁ……」

悟がそう呟くと……。

「馬鹿、油断するな」

と竜一。

「なっ!?馬鹿とはなんだ!!別に油断してる訳じゃ!」

「やめろ2人共……ゾンバットが何処に潜んでるか分からないんだぞ」

大我が止める。

「ああ……すまん……」

「ごめん……」

少し下ると開けた部屋に出た。

「おっ……広い部屋に出たぞ」

「ここは……どうやら地下の発電施設みたいだな」

周りには多くの巨大な機械が並んでいた。


と、その時!

突然何者かが3人に襲い掛かって来た。

「うわっ!?」

「なんだ!?」

「あぶねっ!?」


3人を襲ったのはタランチュラゾンバットと数体のゾンバットだった。

「よぉ……ダークウルフ……また会ったな……」

「タランチュラゾンバット……」

「大我!」

「コイツとは俺が決着を着ける!お前達は先に行け!」

「え?でも……」

「一緒に戦った方が……」

「いや、誰か1人でも早くエターナルコアに辿り着いた方がいい……ここは任せろ」

「それもそうか……分かった。ここは任せる!悟、行くぞ!」

「う、うん……」

竜一と悟はゾンバットを切り抜け先に進む。

「させるか!」

タランチュラゾンバットが口から糸を吐き2人を捕えようとする。

だが、その糸は大我が掴む。

「お前の相手は俺だ!!」

「チッ……また死にたいのか?」

「違う!俺達の未来を生きる為にお前を倒すんだ!!」

そして大我は『変身』

ダークウルフとなり『ウルフクロー』でタランチュラゾンバットの糸を斬り裂く。

「行くぞ!!」

ダークウルフはタランチュラゾンバットに戦いを挑む。


先に進んだ竜一と悟は……。

「大我、大丈夫かな?」

「なーに心配ねぇよ。アイツだって一度戦った相手に負ける奴じゃねぇだろ」

「うん……」

「あぶねぇ!!」

竜一が悟を突き飛ばす。

「うわっ!?……何だ!?」

長く伸びたサソリの尻尾が2人に襲い掛かっていた。

「おやおや……闇討ちを掛けたのに良くかわせたな……」

「貴様……何者だ!」

現れたのはスコーピオンゾンバット。

「私はスコーピオンゾンバット……貴方方のお相手を仰せつかった者です」

「ケッ……礼儀正しい割に随分コスい真似するじゃねぇか……上等だ……相手になってやる!」

「では……貴方方をあの世へ送ってさしあげましょう」

「悟……ここは俺が引き受ける。お前は先に行け」

「でも……」

「大丈夫……お前も俺達の仲間なら仲間を信じてくれ」

「……分かった……でも無茶はするなよ……」

「ヘヘッ……約束は出来ねえな……コイツはどう見ても上級ゾンバットだ……少々骨が折れそうなんでな」

竜一は『変身』

ライトニングレオが構える。

「フフッ……ではお相手してさしあげましょう」

スコーピオンゾンバットも構える。

2人の戦いが始まった。


悟は先に進む。

大我……竜一……死ぬなよ……

悟は心の中でそう強く願った。


その頃、ダークウルフとタランチュラゾンバットの戦いは激しさを増していた。

タランチュラゾンバットは口から糸を吐きダークウルフを捕えようとしていた。

ダークウルフはその攻撃をかわしながらタランチュラゾンバットと距離を詰めようとしていた。

しかし、ダークウルフも迂闊に近付く事が出来ない。


悟が更に先に進むと……。

眼の前にコブラゾンバットが待ち構えていた。

「やっと来たか……待ちくたびれたぜ……獲物ちゃん……」

「誰が獲物だコラぁ!!……テメェが俺の相手って訳か……ソッコーでぶっ倒してやるぜ!!」

悟は『変身』

ファイアイーグルがコブラゾンバットと戦い始める。


3人はそれぞれの戦いを始め上級ゾンバットとの激しい戦いを繰り広げていた。

その様子を監視モニターで見ている神楽木透真。

「フフフッ……始まったなぁ……だが彼らはまだ知らない……エターナルコアがゾンバットに与える力の大きさを……」

神楽木透真があるボタンを押すとエターナルコアが起動。

ゾンバット達にエネルギーが送り込まれ3体の上級ゾンバットは更にパワーアップ。

「何っ!?」

タランチュラゾンバットがダークウルフを攻撃。

「うわっ!?」

その強力は一撃でダークウルフは大ダメージ。

「ぐっ……何だ……あのパワーは……」


そしてスコーピオンゾンバットとコブラゾンバットもそれぞれパワーアップしライトニングレオ、ファイアイーグルはそれぞれ大苦戦。


「ぐあっ!?」

「うわぁぁぁっ!?」

パワーアップした上級ゾンバットに3人は大ピンチに陥る。


続く……。

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