第10話「ヒーローズグランプリ開幕」

発電施設での戦いを終えた一行はようやく発電機に電源を入れ、発電施設を始動させる事が出来た。

「よし、これで随分電気が使える様になるぞ。君達のお陰だ」

野口は言う。

「ああ……」

「大我、何を考えてるの?」

「さっきの戦士の事か?」

「ああ……奴は何者なんだ……」

「そういえば兄さんも誰かに会ったって……」

「ああ……国家安全保安局の長官補佐とか言っていたぜ……」

「何っ!?ソイツが何故ここに?」

「さぁな。俺にこのサイクロンアクセラレーターを渡しに来た様だった。直ぐに帰ってしまったしな」

「竜一には強化アイテム……俺には招待状……国家安全保安局はやはり何かを企んでいるのか……」

「それより、折角電気が使える様になったんだ。早く帰って大我君の仲間達に連絡した方が良いだろう」 

「そうだな……帰るか」

一行は発電施設を後にし帰る事に。


その頃、田島は車で国家安全保安局に帰っていた。

その間に神楽木長官に報告。

「はい……長官のご命令通りに……」

電話を受けた神楽木長官は……。

「そうですか。ご苦労さまでした。ではいよいよヒーローズグランプリの開幕と行きましょう」


竜一達の家に戻った大我は早速東エリアの仲間達に電話をする。

「ああ……そういう訳で今は西エリアに居る。ウルフダッシュが直ったら帰るから」

「そうか……良かったよ無事で。なら愛姉にも伝えておくね」

「ああ、宜しく頼む」

貴明との電話を終える。


「仲間と連絡取れたか?」

竜一が尋ねる。

「ああ、バッチリだ」

「なら、早くあのバイクを直さないとな。早川が手伝うってよ」

「そうか。何から何まですまない」

大我は竜一と別れウルフダッシュの修理に向かう。


それから3日間大我はウルフダッシュの修理を続けてようやくウルフダッシュは元に戻った。

「よし、行ける」

「良かった。エンジンの調子も良いみたいだね」

「ああ、早川さんのお陰だ」

「いや〜そんな事ないよ」

そこに竜一と理沙がやって来た。

「直ったのか?」

「ああ」

「じゃあ、いよいよ出発だね」

「お前達には本当に世話になった。ありがとう」

「よせよ水臭い……俺達もう仲間だろ?」

「ああ!」

「まぁ、ヒーローズグランプリでは戦う事になるかも知れないがその時はお手柔らかに頼むぜ」

「フッ……互いにな」

「そうだ、大我!コレ持って行ってよ」

そう言って理沙は紙袋を大我に渡した。

「これは?」

「おにぎり作ったから……良かったら東エリアの友達と食べて」

「ああ、ありがとう。じゃあ……行くな」

「うん」

「また会おうぜ大我」

竜一が拳を突き出す。

「ああ!」

大我も拳を突き出し互いの拳を合わせる。


そして、大我は東エリアに向けて出発。


ウルフダッシュをしばらく走らせていると、東エリアに入った。


アジトに戻ると愛、貴明、光、村井が待っていた。

ウルフダッシュを停める大我。

「皆!」

「大我!……良かった戻って来て」

「もう……心配させて……」

「アニキー!!」

光が大我に飛び付く。

「おいおい!?……皆……ただいま」


ようやく再会出来た大我と仲間達。


そして、大我は仲間達に西エリアでの出来事、ヒーローズグランプリの事を話した。

「ヒーローズグランプリ?」

「ああ……この大会は政府がエリアゼロでの娯楽の為に開くそうだが、本当の目的は別にある気がするんだ……」

「別の目的って?」

「さぁ……まだそこまでは……」

「とにかく、参加するには優勝するしかねぇよ!頑張れ大我!」

「ああ……」


その夜、再びゾンバットが東エリアに出現。


ゾンバットサーチャーが反応し、大我が現場に向かう。


現場では数体のゾンバットが人々を襲っていた。


大我はウルフダッシュから降りる。

そして『変身』

ダークウルフがゾンバット達と戦い始める。


そこに近付く数体の謎の影……。


「ゾンバット発見、殲滅開始」

すると、その影達は『マシンガン』を構え発砲し始める。

「うわっ!?」

ダークウルフも巻き込まれその場を脱出。

「何だ!?」


そこに現れたのは5体のスレイブだった。

「スレイブ?」

その1体は漆黒の戦士。

西エリアの発電施設で大我が遭遇した戦士だった。


「ゾンバットは、我々が殲滅する下がりたまえ」

「何っ!?」

「構え!……撃て!!」

漆黒の戦士の指示で他のスレイブがマシンガンを構え一斉にゾンバットに向かって発砲。


ゾンバットはあっと言う間に全滅した。


「任務完了。これより帰還する」

スレイブ達は去って行った。


「まさか……アレがスレイブの完成形なのか……」


アジトに戻った大我は……。


「ヒーローズグランプリ……ただの娯楽イベントとは思えない……」


ヒーローズグランプリの参加資格を持つのはダークウルフの大我、ライトニングレオの竜一、ブリザードタイガの陽介……。


そして、南エリアの戦士ファイアイーグル……。

未だ実力未知数の彼は一体……。


1週間後、陰謀渦巻くヒーローズグランプリがいよいよ開幕する。


エリアゼロに残った人々が次々に会場に集まる。


そして、神楽木長官と田島長官補佐がヘリでエリアゼロに向かう。


「長官、いよいよですね」

「ああ……私自身も楽しみだよ……」


会場はエリアゼロの中央広場に設営されている。


大我達も会場にやって来る。

「アニキ、頑張ってくれよ!アニキなら優勝間違いなしだぜ!」

光が大我を激励する。

「ああ」


神楽木長官を乗せたヘリが到着。

会場に着陸する。


ヘリの風に耐えながらその場に佇む大我達。


中から神楽木長官と田島長官補佐が降りてきた。


「あれは……」


「皆さんお集まりの様ですね……」


神楽木長官はステージの上に登壇する。

「エリアゼロの皆様、本日はお集まり頂き誠にありがとうございます。これよりヒーローズグランプリを開催致します」

神楽木長官の宣言にエリアゼロの人々は大盛り上がり。


「え〜……まず、今大会の趣旨をご説明致しましょう。普段、このエリアゼロはゾンバット発生の危険区域として隔離されて居ます。そんな自由を奪われた皆様に少しでも明るい催し物をと思い今大会を企画致しました」

そんな神楽木の話を皆固唾を飲んで聞いている。


「しかし、目的はただの娯楽ではありません。このエリアゼロからゾンバットを排除する為に浅間重工より開発された特殊装備のお披露目を兼ねて開催させて頂きます。そして、その特殊装備の紹介を浅間会長、宜しくお願い致します」

神楽木長官の紹介で浅間重俊が登壇する。


「浅間……」

呟く大我……。


「皆さん、ただいま神楽木長官よりご案内頂きました対ゾンバット用の特殊装備……スレイブをご紹介します!」

浅間会長の合図で1体のスレイブが登場。

浅間会長は更に続ける。

「このスレイブはゾンバットと戦う為に我々浅間重工で開発した装備です。その実力は今日の大会でご覧に入れましょう」

浅間会長は壇上を降りた。


「浅間会長、ありがとうございました。では1時間後第一試合を開始します。対戦カードはその時に発表となりますので……それまでに出場する方は準備をお願いします」

そう言うと神楽木長官も壇上から降りた。


「いよいよ始まるな……」

大我もヒーローズグランプリの戦いを決意……。


そして1時間後、いよいよ試合が開始。


「それでは第一試合の組み合わせを発表します」

田島がMCを務める。


そして発表された組み合わせは……。


ダークウルフVSスレイブ1スレイブワン


「いきなりアニキだ!」

「大我!頑張って!」

「ああ……」

第一試合は早速ダークウルフの出番。


いよいよヒーローズグランプリが開幕。


続く……。

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