第5話「大我救出作戦」

大我が浅間に拉致されてから一夜が明けた。


「夜月大我、出ろ」

浅間の部下が大我を監禁死ている牢屋を開ける。

大我は素直に従い牢屋から出る。

「気分はどうだ?」

「……良い訳ないだろ」

「まぁ、そう言うなよ。今日はもっと面白い物を会長が見せて下さるそうだ」

「もっと面白い物……だと?」

「まぁ、大人しく付いてこい」


大我が連れて来られたのはまたもや昨日の実験場。

「やぁ、おはよう大我君」

「何の用だ?」

「今日は君にも見ていて貰おうと思ってね。実験ネズミのショーを」

「ショーだと?」


実験場にはスレイブを装着させられた1人の人間。

「や……やめてくれよ……勘弁してくれ……」

「お前に拒否権が無い事は分かっているだろう?」

「くっ……」


「誰だ?」

大我が浅間に尋ねる。

「ああ、彼はウチの会社を裏切ろうとしたただの馬鹿だ」

「裏切る?」

「まぁ、見ておけ。始めろ」

「はっ!」


研究員達が離れるとまた、捕えていたゾンバットが現れた。

しかも今度は3体。

「!……ゾンバットが3体だと!?」

3体のゾンバットは一斉にスレイブに襲い掛かる。

「う……うわぁぁぁっ!?」

彼は逃げようとするが、スレイブのAIが反応。

彼の意思を無視して戦闘体勢に入る。

「いやだ……戦いたくなーい!?」

「!!辞めさせろ!!彼は嫌がってるじゃないか!!」

「勘違いするな。君は客人だが、彼は私の駒だ……駒に拒否権等ない」

「くっ……」


スレイブは彼の意思に反してゾンバットと戦い続ける。

しかし、彼が抵抗する為、AIが混乱。


「ん?どうした?」

ゾンバットがスレイブを攻撃する。

スレイブはダメージを受ける。

更に残り2体のゾンバットも容赦なくスレイブを攻撃する。


「浅間!これは彼の意思を無視した非道な人体実験だ!直ぐに辞めさせろ!そうで無ければ彼は死ぬぞ!!」

だが、浅間は大我の忠告を無視して実験を続ける。


「うわっ!?」

ゾンバットの攻撃でスレイブのヘルメットが破損。

「まずい!?どけ!!」

大我は浅間を押し退け『ウルフチェンジャー』を奪う。

「待て!」

大我は『ウルフチェンジャー』を装着し、実験場へ降りる。


「うわぁぁぁっ!?」

ゾンバットが彼に迫る中、大我が前に出る。

「ゾンバット共、俺が相手だ!!」

大我は『変身』

ダークウルフが登場し、ゾンバットと戦い始める。

「くっ……逃げろ!!」

「は……はい……」

彼は逃げ出す。

しかし、もう1体のゾンバットが彼を追う。

「くっ……させるか!!」

ダークウルフはゾンバットを蹴り飛ばし、彼の方に向かうゾンバットを止めに行く。

彼からゾンバットを払い除ける。

ダークウルフは必殺技『ダークブレイククロー』を繰り出し3体のゾンバットを倒す。


「やれやれ……実験は中止だ……」


「大丈夫か?」

「ええ……どうもありがとう……」

「動くな!!」

武装した男達がダークウルフ達を囲む。

「はぁ……またか……」

人間を傷付ける訳には行かず、ダークウルフは変身を解除。

その後、2人揃って再び牢屋に監禁される。


「オラ、大人しく入ってろ!」

「くっ……」


「さっきは助けてくれてありがとう。僕は村井和也(むらい かずや)」

「俺は夜月大我……」


その頃、エリアゼロの北エリアでは……。

「来たか……」

浅間重工から提供された食料が運び込まれていた。

浅間重工の職員達が食料をトラックから下ろす作業に紛れて貴明と愛がトラックの荷台に乗り込む。


「よし、後は上手くやれよ……」

陽介は食料の配給を手伝いながら2人を見送った。


配給が終わり、トラックはエリアゼロから出て行く。


トラックの荷台に隠れる貴明と愛。

「狭いなぁ……」

「直ぐだから我慢しなさい」

「分かってるよ……」

「ちょっと……足辛いんだからもっと詰めてよ……」

「これ以上無理だって……」


牢屋で話をして打ち解けて来た大我と村井……。


「村井さんは何故裏切り者に?」

「ああ……ゼロクライシスが起きてから浅間会長は人が変わった様になってしまって……会社の経営が傾いて……昔はもっとまともな会社だったんだ……だけど、怪しい実験とかにまで手を付ける様になって……そんな会社で働くのが嫌になったんだ。それで、辞めるって言ったらこの有り様さ……」

「浅間重工は元々はまともな会社だったのか……」

「うん……会長はゼロクライシスで娘さんと孫を亡くしてしまって……それからだよ人が変わってしまったのは……」

「浅間にそんな過去が……」


その頃、貴明と愛は……。

「何とか無事に侵入出来たな」

「そうね、大我は何処に居るのかしら……」

「こういう時は社員のふりをして誰かに聞くのが早い」

「そうね……」

「昔スパイ映画で見て一度やって見たかったんだ〜」

「あっ……そ……」

とそこへ通り掛かった警備員を捕まえる貴明。

「うわっ!?」

「お兄さん、ちょっとごめんねー」

貴明と愛はその警備員を気絶させ、衣服を奪う。

「よし、俺が誰かに聞いて来るから愛姉はここで待ってて」

「うん、気を付けてね」

貴明が他の社員を探しに行く。


すると……。

「まったく……夜月大我っつったけ?アイツ何なんだよ。折角こっちが客人として迎え入れてるって言うのにさ」

「まぁ、仕方ねぇよ。無理矢理連れて来られたんだからさ」

変装した貴明が尋ねる。

「あの〜すみません。その夜月大我って何処に居るんでしたっけ?」

「ん?地下の特別室に居るって話だぞ?」

「あっ、そうですか、ありがとうございます」

「何だ?警備員さん新入りか?」

「ええ、最近入ったばかりでして……夜月大我の見張りに……」

「そうか、頑張ってな……」

「ん?ちょっと待て、夜月大我に見張りなんて付いてたか?」

「え?あっ、ちょっと待て!」

しかし、貴明は既に居なかった。

「あれ?」


「愛姉、大我は地下の特別室だってさ!行こうぜ!」

「うん!」

貴明と愛は地下に急ぐ。


「侵入者だー!!」

先程の社員が報告し、施設内に警報が鳴り響く。

「やべっ……バレた……」

「急ごう!」

「うん!」

貴明と愛は急いで地下へ行き大我を探す。


その頃、地下の牢屋に居る大我と村井は……。

「何だ?」

「この警報音は……何かあったんだ……」


「大我ー!!」

貴明が叫ぶ。

「!!あの声は……貴明!?」

貴明が叫びながら大我を探す。

「貴明ー!!俺はここだー!!」

大我も叫ぶ。

「貴明、こっち!」

愛が気付き貴明を声のする方に誘導する。

「おう!」

そして……


「大我!!」

「愛姉!貴明!」

「良かった無事で……」

「今出してやる……待ってろ……」

貴明がリュックの中を漁る。


「でも、どうやって?」

「役に立ちそうな物を色々持って来たんだ……」

しかし……

「居たぞ!!」

警備員に見つかった。

「やべっ……」

「任せて!」

愛が警備員の前に……。

「ねぇ、お願い、見逃して……」

「はぁ?何言ってんだ?そんな事出来るわけ……はぅっ!?」

愛は警備員の股間を思いっ切り蹴り上げた。

警備員は気絶。

「うわぁ……愛姉って時々恐ろしいよな……」

「ああ……」

貴明も大我もドン引き……。

「しょーがないでしょ!それより早く開けてよ!」

「ああ……」

「あっ、待って!警備員は全員共通で牢屋の鍵を持ってるはずだ!それでここの鍵を……」

「え?そうなの?って事は……コイツも……」

貴明は奪った警備員の制服から鍵を探す。

「何処かにカードキーを持ってるはずだ」

「カードキー……カードキー……あっ!」

貴明は胸ポケットからカードキーを見つけた。

「それだ!」

カードキーを使い楽々解錠。

「よし、逃げよう!」

「ああ。村井さんも一緒に」

「ありがとう……」

4人は急いで脱出。


全速力で走り一気に出口を目指す。


果たして無事脱出なるか!?


続く……。

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