第3話 静子

ベッドから起き上がり、目を開けると、そこにはまた部屋の片隅で子猫がいた。


数週間前に、普通自動車との不思議な事故を起こした後、何処からともなく現れて何事もなかったように寝転んでいた。


私と目を合わせると、大きな欠伸をした。


私は再び目を閉じて眠った。


今日は日曜日だ。


――――


午前の9時に公園で西野くんと待ち合わせをした。お互いあの日から、一段と仲良くなった気がする。この街にある遊園地へ行く約束をしていた。


私の足元を見て、西野くんの笑顔が一瞬曇りだし寂しさを感じさせた。


「本当に不思議な猫だよな」


「妹によく似ているかも知れない。なんだかそう思う」


私の靴を舐めている子猫を二人して見つめた。


どこが、といっても解らない……。


妹の静子はこんなに人懐こい性格ではない。

喧嘩にタバコ。

私と同じ高校の2年生だというのに、スクーターで深夜を暴走し、翌朝仲間と共にビールを飲んだ時を見た時もある。


問題が起きては、色んなところを頭を下げに妹を連れ回した記憶もある。


私たちの両親もすでに交通事故で亡くなっていた。


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