第44話 ファーストキス

「琉斗!!」


 会見が終わって。紗月が待っていた場所に戻るとすぐに、紗月が駆け寄ってきて、俺の胸の中に飛び込んでくる。


 めっちゃかわいい。何だこの生き物。人を殺す可愛さしてる。


「紗月、ただいま」


 そんな紗月を見てると、俺の方まで笑顔になって、幸せな気持ちになってくる。


「おかえり。すごくかっこよかった」

「ありがと。――紗月が待っててくれるから、胸を張って、自信を持てたんだ」


 俺たちのことを、監督さんと吉村さん。ふたりがじーっと見ている。

 ま、そんなことを気にするほどじゃない。

 堂々と、それが目的で今日頑張ってきたんだから。


「あ、そういえばマネージャーさんは?」


 同じ部屋の中に、マネージャーさんの姿が確認できない。


「あーうん、お仕事、だって。――私たちの今後に関わる大切な、らしいよ」


 そう言われて気づく。多分彼女は、あのエキストラと話しているんだろうなって。

 それなら納得。今じゃないと間に合わないし。


「なるほどな、まぁまずは――」


 そこで1度言葉を切って、紗月と顔を合わせる。

 相変わらず整った顔だ。


 モデル様、その名が着いていることに何も文句がない。ふさわしい。


 そして、世界でいちばんかわいい。彼氏としての贔屓目? いや、そんなのを抜きにしても、だ。


 俺にしか見せなかった顔も、普段の生活の時の顔も。照れている時の顔だって。


 ほら、今も。……今も、紅色に染めた頬、少し潤んだ目、綺麗な唇。


 ――ここまで来たら、何を求められているのか、それくらいはわかる。

 そして――それを拒否する理由も、全くない。


 そうと決まれば。


 俺は、紗月の方に顔を近づけていく。拒否されたらどうしよう、とかも思うけど、全くそんな素振りはない。


 今までにない距離に近づく。いい匂いがするな、とかいう気持ち悪いことを考える。


 もうほぼ、ゼロ距離だ。鼻がもうすぐぶつかりそう。けどまだ、もっと。


 唇が近づいて、ゼロ距離になって。くっついた。


 軽く触れただけ。けれども、今までにしてきたどんなことよりも幸せを感じる。


 柔らかかったなぁ。


「――ん、私今すごく幸せ」

「俺もだ。大好きだよ、紗月」


 幸せの絶頂って、今みたいなことを言うんだろうなぁって思う。

 けど、まだもっと上があるってことも知っている。


 ……俺、耐えられるのかな。


「あのー。おふたり。俺達も見てるんですけど?」


 2人だけの世界に入ってしまっていた。

 けど、吉村さんからの言葉で現実に引き戻されて――え?


「まぁ、2人の初々しいファーストキス、見てるだけでキュンとしたけどな」


 監督さんにからかわれるように言われて、ようやく自分たちがしたことを理解する。


「――紗月」

「ま、いいんじゃない?」

「……それもそっか」


 とはいえ、もうちょっと配慮が必要なのはわかっているが。


 そして、部屋の入口の方から音がする。

 ドタドタと廊下を走ってきている音が聞こえていたし。緊急なんだろう。


「あれ、マネージャーさん。もう仕事終わったの?」


 緊急で入ってきたのは、今迄とは雰囲気が違う、まるで戦いを終えたあとみたいな。そんなマネージャーさんだった。


「えぇ。――最後の挨拶、しに来ました」







―――――――






高校忙しすぎてやばいです。

ごめんなさい更新遅くて。

頑張りたいのはやまやまなんですけど!!

すみませんほんとに!! 頑張ります! 完結絶対させます!!

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