第33話 告白
「どこここ。自分たちが住んでる場所の近くにこんなに綺麗な場所があるんだ……」
紗月がそう言葉を漏らすくらいに、ここは綺麗な場所。自然がいっぱいで。
都会の中に突然現れる田舎。けど神社の奥だからそこまで違和感があるわけじゃない。
「綺麗だろ?」
「うん、すごく」
俺がこの場所を知っていたのは、小さい頃、街に出てきた時によくこの場所で悪さをしていたから。
――そう、この場所、実は立ち入り禁止の場所であったりする。そんなスリルも、なんかいい感じの空気を作る手助けをしてくれる。
「それでさ、わざわざこんなところに着いてきてもらったのは言いたいことがあったからで」
ついに、ようやく、このセリフを口にする。昨日、たくさん練習して。シュミレーション通りに行くかは分からないけど、言わないと始まらない。
「うん、どしたの?」
……多分、紗月もわかってくれている。けど何も言ってこない。それが一番ありがたい。
「まず、紗月。今まで仲良くしてくれてありがとう」
「…………」
「同じクラスになって、最初の方はお互いに喧嘩して」
「ね、あの時はほんとに私たち何やってたんだろ」
「けど、気づいたら、他の誰よりも仲がいい友達になってた」
最初は、どっちかと言えば嫌いな方の人だった。言い合いも楽しかった――けど、やっぱりそういうことをしない人との方が楽しいだろ?
「俺が、紗月をナンパから助けて」
「……あの時は、かっこよかったよ?」
「ありがと。で、お互いに惚れたのか? とか、そんなことを言いあったり」
あの時はまだ恋愛感情がなかった。なかったからこそ、今振り返れば無自覚にとんでもないことを言い合って。
恥ずかしい。けど、大切な思い出になってる。
「けど――その言葉って、自分の本心ではないって思ってたんだよ」
「……え?」
「愛してるゲームをしたり、大好きだって言い合ったり。自分の中では、友達に向けた、恋愛感情なんて微塵もない言葉だと思ってた」
「……!」
気づいたら、俺のシュミレーションから外れていた。言葉が溢れてくるから。
「なのに、二人で過ごしてる時間が、いつの間にか俺の中で一番大切な時間になってたんだ」
この時間が、一生終わらなかったらいいのに。
何度もそう思った。
「大好きって言い合うのも、2人で手を繋いで歩くことも。全部全部、俺が大好きな時間になって」
いつの間にか、もしかしたら最初から、好きだって思ってたのかもしれない。
「そして、もうひとつわかったことがある。俺は、紗月と過ごす時間が好きなんじゃなくて――いや、その時間も大好きなんだけど」
「――ッ!」
一度深呼吸して。息を整えて。
「俺が一番好きなのは――――紗月自身のことなんだなって気がついた」
紗月の目には涙が光っている。
「だから――紗月、俺と付き合ってください」
目を瞑る。どんな表情をしているのかは見ない。怖いから。ただひたすらに、返事を待つだけ。
――――少ししても、返事が来ない。
ふられた。もしかしたら目の前にはもう、紗月の姿がないのかも知れない。
そう思いながら、目を開ける。
すると目の前には――涙を流して、少し呆然としている紗月がいた。
「……紗月?」
「私でいいの!?」
名前を呼んでみると、急に声が飛んできた。
……愚問を聞いてきた。
「いいに決まってる」
「こんな、顔だけの私で?」
「顔だけじゃない」
「あんなに琉斗の悪口ばっかり言ってた私で?」
「いいに決まってる」
「こんな、こんな――ずっと琉斗に素直に好きっていえなかった私で?」
「――――!? あぁ、紗月でいい、じゃない。紗月じゃないと、だめなんだ」
その言葉が、紗月を縛る鎖を解いたのか、俺に抱きついてきた。
「なら、私を琉斗の彼女にしてください」
「――もちろんだよ、紗月」
――――――――
やっとここまで来れたー!!
あとは色々種明かしするだけ!
そして皆様、本日も星がひとつも貰えておりません。途切れたくないんです。助けてください。
皆様!どうか!星!を!ください!
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