第31話 ばーか

「あ、そちらの男性の方。少しお待ちください」


 お互いにあ〜んをし終わって、今から次の場所に行こうとする時。さっきの店員さんによびとめられる。


「すぐ終わりますんで」


 まぁ別に行くことになにか問題があるわけじゃないしな。


「なんか危ないことあったらすぐ逃げてきてね?」

「それはこっちのセリフだよ」


 一旦紗月をお店のすぐ外に置いて、店員さんと話をする。


「すみません、どうしても一言言いたいことがあって」

「まぁ、それはいいんですけど、どうかされました?」


 うーんなんだろう。なにか俺たち、店でやらかしたりしたのだろうか。してないつもりなんだけども。


「――今日の会見、頑張ってくださいね」

「……へ?」


 思わず情けない声が出てしまった。


「あの、多分気づいてるの僕だけなので大丈夫だと思うんですけど、お客様、今話題の紗月さんの彼氏さんですよね?」

「はい、まぁ」


 バレてないと思ってたんだけどな。意外と有名人ってバレにくい……らしいし。


「応援してます! 週刊誌なんかに負けないでください!」


 思わぬところから知らされた応援。けど、今日この後の戦いをこなすには、確実に力になってくれそうな言葉で。


「……ありがとうございます。見ててください」


 お礼を言って、紗月の元に戻る。


「なんて言われたのー?」

「んいや、大したことは言われてない」

「……浮気?」

「いや!? 男だったよな!? しかも絶対浮気なんかしねぇよ!?」

「だよねー? ならいいんだけどさ」


 ……びっくりした。まだ付き合ってもいないのに浮気を疑われるなんて。


 まだ、付き合っても、いない、の、に……。


 ……え?まだ付き合ってないよね? それでなんで浮気疑われてるの? 普通だったら、嫉妬なんてしないよな。


 そう、普通だったら。ってことはさ、俺は紗月にとって普通じゃない。特別。


 うん、そうだったら嬉しいな。そうであって欲しい。


「というかそもそも、隣に紗月がいて浮気なんてするわけないだろ?」


 ちょっとした反撃。そのつもりで言ってみる。

 けど、紗月はまたまた顔を赤くして。


「ばーか。ほんとに――」


 そこまで言って、口を噤む。


 あぁ。多分、ここまで来たら、さすがの俺でもわかるだろ。今日の告白、多分成功するんだろうな。


 嬉しい。既に浮き足立ってる。けど、万が一の失敗の可能性ですらも消すために。


 もっと、かっこいいところを見せたい。

 もっと、俺の事を好きになって欲しい。


 こう思うのは、別に悪いことじゃないよな。


「ほんとに?」

「……ね、本当はわかってるでしょ?」

「さぁ、なんのことやら」

「ばーか」


 最近、ばーかが口癖になってきている紗月さんのことは置いておいて。

 そろそろ、場所を移動しないといけないな。


 今日は予定が詰まってるんだ。だからこそ、大切な告白には時間をかけたい。


 うん、人生で、今日と、あともう1回だけにしたいから。プロポーズの時だけでいい。


 そんな大切なことを、なぁなぁで済ますほど俺はクズじゃねぇから。


「じゃ、紗月。次は俺が行きたいところ行ってもいいか?」

「……ん。どこまでも、着いてくよ」


 どこまでも、ね。その言葉一つ一つに過剰に反応して意識してしまう。

 本当に緊張してるからな。


 ――さぁ、人生最初の大勝負を始めよう。







――――――――







すみません遅れました! ホントに申し訳ない!

しかも明日から旅行なんですよ! もしかしたら更新できないかもです! ほんとにゆるして!


そして今日は星がまだもらえていません!!


今日星が入ってくれれば、絶対に星600に行けるんです! ラブコメで星600とかすごいと思うんです!

なのでどうか皆様、私のためによろしくお願いいたします。

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