第17話 恋愛感情――なのか?
「で、どんな話があるんですかね?」
吉村さんに連れられて、近くの有名人御用達みたいな雰囲気を漂わせている高級レストランに行く。
「とりあえずさ、警戒解いてくんないかな?」
店に入って着席するとすぐに、吉村さんからこんな言葉をかけられる。
「いえ、急にこんなところに連れてこられてしまったら……」
「あー、口説かれるかもって思ってるならそれはないって断言するけど」
私の警戒してることを一発で当てられて、逆に警戒心が増す。
いやけど、本当にそういうことならいいのかな?
そう思い、少し警戒を緩める。
「……では、用件を話してください」
「あの、これは俺のただの勘なんだけど――」
ここからの話は、到底人に洩らせるものではなかった。けど、この先の私の身の振る舞い方を大きく変えるものでもあった――――。
_______
「そーいや、琉斗は彼女さんを迎えに行ったりしねぇのか?」
紗月が来なくなり一週間。
周りのみんなは紗月がいなくなることに、一種のなれを感じてしまってるみたいだが、俺は全くなれない日々を送っていた。
「うーん、どこで撮影してるのか知らねぇんだよな」
まぁ実際にはポロッと電話で漏らしていたんだが。これをこいつらに話してもいいものなのか、疑問が残る。
「けどさ、湊も俺も思ってるんだけど、迎えに行ってあげたら絶対喜ぶと思うぞ?」
晴翔は俺をいじるみたいに言う。
「迷惑なだけじゃないのか?」
紗月だってさ、撮影の関係で色々あるかもしれないし。俺がいったら迷惑なだけ。
それに、俺が行ったせいでなにか他の人に言われてしまったら罪悪感しかなくなってしまう。
「まぁそうかもだけど……。紗月さんが来てほしいって思ってたら?」
「それなら……行ったほうがいいのか?」
「ま、紗月さんに聞いてみたらいいんじゃねぇの? あと、恋愛に関しては晴翔さんに聞いてくれ」
「ちょっ! 恋愛じゃ――――」
ここで一度言葉が詰まる。もう、恋愛じゃないっていい切れなくなっている。
そのことに驚く俺。そしてそれを見た二人はいい感じのいじる材料を見つけたみたいな顔をして。
「あれ、恋愛じゃ?」
「言い切れないくらいには、存在が大きくなってるんだよなぁ?」
二人して、俺のことをおちょくってくる。
くそっ、これが彼女持ちの余裕かよ。
「……まぁ、たしかに最近仲良くなってるのは確かだし」
「きたー!」
「よし、ようやく認めた!」
「けどさ、これが恋愛感情なのかどうかは全くわかってないんだけど……?」
そう言うと、二人してとんでもなく顔を顰めて。
「は? お前はまだそんなこといってるの?」
「……自覚しろよ」
こんな冷たい言葉を投げかけてくる。
「……いやほんとにわかんねぇんだけど?」
「……惚気だよな、湊」
「うん、なんで俺達はこんなことを聞かされてるんだろうな」
あの、お二人。俺は本気で話してるんですが。
……まぁいいか。今日帰ったら、一回聞いてみよう。もしかしたら行ってもいいってなるかもだしな。
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