街でナンパから助けた女の子が、俺と犬猿の仲のクラスメイトである美少女モデル様だった件

第11話 俺と付き合っ――――

「な、なります……」

　俺が歴史的な快挙をあげて少しして、お互いにとんでもない羞恥心との戦いを終えたあと。

　紗月が不意に言ってきた。

「な、なりますってなにが……？」

　まさか、まさかね。まさか俺の女になれを真に受けたわけないよな？

　……え、もしかして真に受けられたりしました？　それだったらだいぶ色々変わってくるんだけど？？

「……琉斗の女になってあげよっか？」

　まじでした。

　――――は？　まじでした？？

　えぇ……？　あんなに喧嘩してたのに？　あんなに俺のこと嫌いオーラがでてたのに？

　そんなまさか。

　けどさ、なんで今日突然愛してるゲームしようなんて言ってきたんだ？

　普段ならそんなこと提案されないし。そもそも紗月が積極的に話しかけてくるなんて――いや、それはあるけど。

　それにしても愛してるゲームしようなんて言われたことはないな。

　ってことは。まさか、まさか――――俺に愛してるって言わせるための策略？

　そして俺からの告白を待っていた？

　けどもしそうだとしたらなんで？　いや、俺のことを好きだからっていうのはわかるんだけど。

　なんで俺のことが好きになった？　喧嘩しかしてなかっただろう？

　そんなやつのどこに好きになる要素があったんだ？　いや、あるわけない。

　けど一旦紗月の腹を探らないと。今すぐに付き合うなんて無理だし。

「へぇ……、ほんとになる気でいるのか？」

「ま、別にまんざらじゃあないけどね？」

　こいつ……。一切動揺を見せてこない。

　まさか本気で、俺と付き合おうとしてるっていうのか……？　いやけど……。

「いいのか？　俺なんかで」

「いいよ？　私琉斗の事好きだし」

　……ここまで来ても、本気の顔をしてる。嘘ついているようには見えない。

　どうすればいいんだろう。嫌というかそもそも、俺の気持ちが一番大切か。

　俺は、どう思ってるんだろうか。

　たしかに喧嘩するのとかは楽しい。本気で喧嘩してるようにも思うけど、そうでもない。

　お互いに楽しんでると思うんだよ。喧嘩の最中に熱くなっちゃうこともあるけどさ。

　けど、これが好きかと言われたらまた……。

　仲がいい、と好き、は全くの別物じゃないのか？友達としてはいい感じだと思うんだけど、恋人ってなると。

　そもそも相手はモデル様だぞ？　そのことを頭に入れて考えると、俺なんかには到底……。

　うーん。俺の初彼女が……こいつになるのか……？

「へぇ、紗月は俺が彼氏になってもいいんだな？」

「だからいいって！　好きなんだから！！」

　……なら。いいかな、一回くらいは。

　うん、相手もこれだけいいよって言ってくれてるんだから、俺が断る理由なんてないんじゃ――。

　そもそもモデル様を彼女にできるってだけでとんでもないことだし。

　まだ、この先なんて考えられないけど、今は紗月と付き合ってみたい……。

「じゃあ、俺と付き合っ――――」

「はい！！　私の勝ち！！　真に受けちゃったね！！　まだゲームは終わってないよ！？」

　俺が告白……みたいなことを言いかけたとき、紗月は思いっきり煽る顔で。

　今までに見たことがないような声で、俺のことを煽ってきた……。

　ここまで、ここまで演技を続けるのか。さすがモデル様。ドラマにも結構出演してるしな。

　――うん、一つ言わせろ。

　ふっざけんじゃねぇよっ！！！！！！！！