第6話 さて、話そうか
「……っていうことがあったんだ」
翌日、学校で。
昨日偶然にも紗月を助けたことを、俺の親友である
何でも相談できる間柄だからな。こういうことだってよく話している。
「……で? その後どうしたの? まさかそのまま帰ったってわけじゃないよね……?」
晴翔は彼女持ちの男である。そう、俺達の敵なのだ。だが、女子の扱いがうまいのは本当で。
「そりゃあ喧嘩したんだからすぐ帰るだろ」
「……はぁ、これだから鈍感男子は」
この系統の話をするたびに、なぜもっと一緒にいなかったのだ、なぜさっさと告白しないのだ、ということを言われる。
思うんだ。俺が告白して、成功するはずがないだろうと。
というかそもそも好きなわけでもない。どっちかといえば仲は悪いほうだろう。
だって喧嘩してるんだから。喧嘩するほど仲がいいなんていうけど、そんなの俺達には通用しないと思うんだ。
仲が悪いから、仲が悪い。それ以上もそれ以下もない。
「え? 晴翔、琉斗まーたやらかしてんの?」
すぐ近くで別の人と話していた、またこれも俺の親友さんである
「そうなんだぜ? やばくないかこいつまじで……。何回言ったらわかるんだろうな」
「……ま、それがいいとこでもあるんじゃない?」
……二人には二人だけの会話があるんだろう。
喧嘩してるやつ等をくっつけたいって思ってるのはよくわからんけど。絶対にないし。俺の方から願い下げだし。
「はぁ……。モテ男は辛いねぇほんとに」
ひとしきり晴翔どの会話が終わったらしき湊が、おちょくるように言ってくる。
ちなみに。こんな事を言っている湊くんですが、こいつも彼女がいるタイプの人種です。
俺の親友たち、俺の敵ばっかり。ほんとに何なんだろうか。潰してやろうか(?)
「ま、まっったくモテてないから安心してくれ、彼女持ちの湊くん」
「ちょっとおまっそれは……!!」
実はこいつ、彼女がいることをみんなに言ってないのだ。隣のクラスの女子なんだが、その女子もまた人気が高い。
湊自身も結構人気が高めなので、付き合ってることがバレるとまぁ面倒なのだ。
そこをついて反撃するのがいつもの俺ってわけ。
「まぁ、彼女いないの琉斗だけだしな。お前もそろそろ作ったらどうなんだ?」
「たしかに、彼女はいいぞ。とにかくかわいい」
二人が煽ってくる。
「いや、俺は好きな人がいねぇしそもそも作ってないだけだし……」
「あっでた。非リア男の典型的な言葉。少し前までの湊もそうだがこれ言ってるやつはだいたい魔法使いになるんだよ」
ぐざぐさ。琉斗 の 心 に 1000 の ダメージ!
琉斗 は 瀕死 に なった。
「クソっ……! お前“ら”!彼女さんが呼んでるぞ!!」
もうこうなったら切り札だ。二人が付き合ってることをバラしてやらァ……!
「おいこら」
「お前昨日あったことバラすぞ」
…………………。
「すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「……じゃ、僕は彼女さんとデートでもしますかね」
一足先に彼女がいることを公表している晴翔が言う。
「じゃ、俺も今日は用事あるから」
湊も先に家に帰ってしまった。
あー。今日は久しぶりにひとりで帰ることになりそうですか……。
暇なんだよな、1人って。まぁ仕方な――
「ねぇ琉斗。話があるんだけど?」
「んだよ」
――訂正。いつも喧嘩してる声が聞こえてきたよ。しかも用事があるらしい。
こりゃあひとりで帰ることにはならなさそうだな。……それよりもめんどいかもだけど。
――さて、話そうか。
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