第2話 つまり、俺に死ねと?

 前回のあらすじを少し振り返ろう。俺の輝かしい異世界ライフは開始数分で崩壊した。転生したのにこの仕打ちはあんまりだろう…。以上前回のあらすじでした。


 王様「そろそろ話は済んだかね?召喚された勇者の諸君らに頼みたいことがあるんじゃが…」

 来ましたよ王道展開。どうせ魔王が暴れてて、世界を救うために木の棒片手にスライム倒しに行けばいいんですよね?

 王様「とりあえず、お主らは現状クソ雑魚ナメクジじゃ。明日からでもいいからレベル上げに行ってくるとよい」

 達也「随分と酷い言い方するな。とりあえず今は疲れてるから休ませてもらうよするよ」

 亮磨「王様や、装備なんかを少しもらう事はできないんですか?」

流石は亮磨だ。多分装備貰ってこいつは先にレベル上げに行くんだろうな。ま、ちょっと前まで戦場に居たから肉体的にも精神的にも疲れてるだろうし、隊長権限で休ませるけどな。

 王様「装備か…第3倉庫にもう使われてない兵士たちの装備があるはずじゃ。そこにある装備は好きなだけ使ってくれてもよい。」

 加宮「装備っていうと鉄の鎧とかですかね?今着ている防弾チョッキの方が軽くて丈夫そうな気もしますね」

 達也「そうかもしれないな。とりあえずお前ら、レベル上げは明日からだ。とっとと休むんで少しでも気力を蓄えておけ」

 俺はそう言って2人の手を引き、寝室までメイドさんに案内してもらった。


〜イビル城 寝室にて〜

 達也「ここってイビル城っていうんだな。どこぞのハンティングゲームに出て来そうだ」

 加宮「やっぱりゲームの世界みたいな感じなんでしょうかね?とはいえ、ステータスボタンを押しても出てくるのはスキルのレベルだけで、自分のレベルやステータスの数値みたいなのは出て来ませんね」

 亮磨「もしかしたら俺らだけかもしれないけどな。スキルが強過ぎるからレベル1強制とかになってるのかも」

 達也「お、嫌味か?」

俺らは寝室に入った後、この世界の仕組みや互いに違ったところがないかなどの事について語り合っていた。ただ、1人だけずっと喋ってないヤツがいる。そう、敵兵だ。だが、しゃもじを投げて俺らに攻撃してくる様子もないし、話しかけてみてもいいだろう。

 達也「…それで……敵兵さんや。……あんたの名前はなんだ?ちなみに俺は風見 達也23才。彼女は1回もできたことがない」

敵兵は見るからに女性。金髪だしこれでツインテロリだったら最高だったんだがな。ま、俺はお姉さんだろうが守備範囲内だ。さ、話してみなヒロインちゃんグヘヘ。

 敵兵「……私はOlivia(オリヴィア)。……彼氏は…居ないわ…」

なんかよく分からんけど、めっちゃ睨まれながら自己紹介された。あれ?もしかしてこの子ヒロイン候補じゃなかったりするのだろうか……

 加宮「僕は涼木 加宮。スキル《魔道の極み》の通りで魔法使いだ。深い事は聞かないでくれるとありがたい」

 亮磨「俺は光哉 亮磨。21才でそこの魔法使いの先輩と同じにならずに死ぬと思ったんだが、もしかしたら俺も《魔道の極み》になってしまうのかもしれない…」

 加宮「おい亮磨。ちょっと表出ろ」

そう言って亮磨はどこかに引きずられていった。南無阿弥陀…。

 Olivia「随分と陽気なヤツらだな。1人で敵陣に突っ込まされた私とは段違いだ」

 達也「そりゃ大変だったな。ま、Oliviaがいいなら俺らとパーティーを組まないか?」

俺らが召喚された勇者である以上、パーティー組んで戦った方がきっと強いのだろう。少なくとも剣士と魔術師は揃ってるようだし、あとはザコスキルの2人がどうなるかだ。

 Olivia「いいのか?元は敵同士だったのに」

 達也「あぁ…構わんよ。とりあえず、明日は朝からレベル上げに行く予定だ。隊長の役目は俺が引き継ぐ予定だが問題はないな?」

 Olivia「あぁ、問題ない」


 Oliviaと話終わった後、俺はすぐ寝た。知らぬ間に加宮と亮磨も帰ってきて寝たようだ。


翌朝

 〜イビル城近くの草原にて〜

 亮磨「なんで城の近くにこんなバケモンがいるんだよォ!」

そう、俺らは油断していた。城の近くにはスライムとかゴブリンとかしか居ないものだと思っていたのだ。

 加宮「コイツはヒグマなのか!?てか火属性の【フレイム】とかいうの全然効いてなさそうなんだけど!」

 亮磨「俺の剣も弾かれる!もしかして物理攻撃が無効だったりするんじゃないか?」

正直言ってかなり状況はまずい。普通がどうなのかは知らないが、加宮は火、水、風、光、闇の魔法が使えるようで、全ての攻撃を試したがどれもあまり効き目はなかった。亮磨に関しては、初心者とは思えないような動きで戦っている。だが、全て弾かれてる。

 達也「俺も攻撃してみる!お前らは一旦引いて態勢を立て直せ。Oliviaはしゃもじでも投げて攻撃してろ!」

 Olivia「私の扱い雑ぅ!!」

俺もヒグマらしきモンスターに短剣を突き立ててみたが、確かに跳ね返えされた。ほんとに物理攻撃が無効なのかもしれない。

 亮磨「隊長!右ッ!!」

俺が右を向く前に、俺の視界は回転し始めた。そう、俺は思いっきり吹っ飛ばされたのだ。しかも、とんでもない勢いで。

 加宮「隊長!今ヒールをかけます!」

そう言って加宮は俺の方に走って来た。だが、時すでにお寿司。俺は死んだのだ。

 亮磨「加宮!隊長は無事か!?」

 加宮「………」

 亮磨「加宮ッ!おい加宮!」

 加宮「…死んでます……首から肩にかけての重傷……多量出血です……」

 Olivia「そんな……クソッ!まだ知り合ったばかりだぞ!」

そう言うと、Oliviaは本気なのかなんなのか鉄製のしゃもじを投げ出した。めっちゃ使いづらそうだな鉄製のしゃもじって。

 加宮「名前がやばいから被害範囲も分からないし使いたくもなかったんだが、仕方ない!Olivia、亮磨下がれ!」

 「いくぞッ【ヘルフレア】!!」

突進してくるヒグマみたいなのに加宮の魔法が直撃した。その瞬間黒色のような炎がヒグマみたいなのを包み込んで地面を巻き込み爆発した。

 亮磨「やったか!?」

 加宮「おい!それ俺が人生で言いたかった死亡フラグ1位のやつなのに!」

 Olivia「お前ら隊長が死んだのに随分と楽しそうだな…」

あ、ヒグマみたいなのは死亡フラグの効果もあってかわりとピンピンしていた。だが、3人は安心したような顔で見ていた。なぜなら…


 俺がヒグマみたいなの後ろから短剣で攻撃しようとしていたからだ


 《死んだ振り》発動!!


どうやら《死んだ振り》の効果は即死級の攻撃を受けようが、死んだ振り扱いになり自分の好きなタイミングで完全復活できるらしい。まぁ、何が言いたいかというと不死身だ。どんだけ敵の攻撃を受けても蘇る。何回でも敵の攻撃を死ぬ代わりに防げる。最強のタンクだ。


 つまり俺に死ねってことだ。

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