第60話 迎撃
村人の陳情を受けたジャスティーナは
そんなジャスティーナの
「ジャスティーナ。村の人達のために戦うんだね」
「そんな格好いいものじゃない。この村には
ジャスティーナは決して無償で人助けをする性分ではない。
そのことはプリシラにも分かっていた。
だが村人から頼まれた時に嫌な顔一つせずに、即座にそれを引き受けた彼女の態度にプリシラは好感を得ていた。
あれこれと理由を並べ立てるその性格も嫌いではない。
「アタシも戦うからね」
「あんたはエミルとジュードを守っていな……と言いたいところだけど、ちょうどいい機会だ。実戦に慣れておきな」
そう言いながらジャスティーナは手持ちの長剣を2本、短槍1本に刃こぼれなどがないか確認し、それから村人から1本借り受けた大振りな
「この戦いは敵の頭のズレイタとかいう男をいかに早く討ち取るかが
「アタシに?」
「そりゃそうさ。
ジャスティーナの言葉にプリシラは拳を握り締めた。
「ええ。分かったわ。あなたが集中して戦えるよう、他の奴らはアタシが引き受ける」
そう言うプリシラに対し、ジャスティーナは短剣の刃をギラリと見せて言った。
「今回は集団戦だ。あんたが敵を
ジャスティーナの言葉にプリシラは息を飲み、それでも拳を握りしめて緊張の
☆☆☆☆☆☆
「兄貴。奴ら、相当警戒していますぜ。石垣全部にグルリと男衆を配置していますよ」
セグ村から数百メートル離れた高台の草原に陣取るズレイタは、その手下の報告を鼻で笑った。
「フンッ。
そう言うとズレイタは立ち上がる。
その身の丈は2メートル近くあり、体重も130キロを越え、その
「アリアドが王国軍に占領されたらしい。今なら小うるさいアリアド兵どもも助けには来られねえ。あの村をぶっ
そう言うズレイタに、手下らの間から
そんな手下らの顔を見渡すと、ズレイタは気合いのこもった号令を上げた。
「行くぞオマエら! 好きなだけ殺して好きなだけ奪え!」
「オオオオオオオ!」
興奮した
50人を超える
☆☆☆☆☆☆☆
「来たぞ! 敵襲だ!」
そして
村人たちは2メートルほど積み上げられた石垣の裏側に置かれた台に上がり、そこから弓矢を構えた。
農作業の合間の訓練で
「うぎゃあ!」
運の無い
しかし大多数の
村人らは石垣の上から長槍を突き下ろして、
しかしそれを
「オラァ! 死ねぇ!」
「農民ふぜいがぁ!」
訓練された自警団の村人たちは必死にこれに応戦した。
村のそこかしこで
二度三度と続けて大きく揺れ、四度目の揺れと同時に巨大な
そして……。
「オラァ!」
粗暴な怒声と共に門が蹴り破られ、そこに姿を現したのは2メートル近い巨漢だった。
村人たちが口々に声を上げ青ざめた顔で息を飲む。
「ズ、ズレイタだ……」
「あ、あの門を破りやがった。バケモノだ」
「よう。邪魔するぜ。殺しに来てやったから、おとなしく全員死んでくれや」
そう言うとズレイタは大股で突進し、
自警団の村人たちは必死に後ろに下がった。
だが下がる村人たちとは反対に、ズレイタに向かっていく人影があった。
赤い髪を
ガツンという重い音が響き渡る。
ズレイタの一撃を受け止めて見せたのは、赤毛の女戦士・ジャスティーナだった。
自分の
だが、その女が赤毛で
「てめえ。ダニアの女だなぁ? ハッ。この村の男どもはフヌケぞろいだぜ。自分の手で村を守ることも出来ず、女に用心棒を頼むとはなぁ」
そう言うとズレイタは
「おい! 恥ずかしくねえのか! 女に守ってもらおうだなんて、それでも男か? 情けねえクズどもだぜ!」
だが、そんなズレイタの
「うぐっ!」
ズレイタは思わず背後に下がったが、それほどの痛手は負っていないようだ。
自分の腹を手でさすりながらニヤリと笑う。
そんなズレイタをジャスティーナは
「女、女ってうるさいんだよ。偉そうな口を叩くのは私を倒してからにしな」
そう言うとジャスティーナは
そんな彼女にズレイタは好戦的な笑みを浮かべた。
「面白え。ダニアの女の腕前がどんなもんか味わわせてもらおうか。そしておまえを打ち倒した後は、女としての味を楽しませてもらうぜ」
そう言うとズレイタは下劣な光をその目に宿す。
だがジャスティーナはまったく動じることなく冷たい顔で言い放つ。
「やりたきゃやりなよ。やれるもんならね」
そう言うジャスティーナに、ズレイタは
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