第一章 膜
私の過去は、私自身の作品の中で時々書いているが、自分自身の障害と特性が分からず、虐めや差別を受けてきた。(ある意味では、今も受けている)
だから、知らず知らずのうちに世界というものに対して膜を張った。
誰から見ても『都合のいい人間』でいることが自分なりの処世術だった。
嫌な仕事を引き受ける、嘘をつく……
その膜の内で私は耳も目も塞ぎ、空想の世界で遊ぶことだけが楽しみだった。
歳をとればとる程、膜は厚くなり外の様子も自分がどうなっているかも分からない。
そんな時、いきなり、何かが目に刺さった。
「外に行こうよ」
それが、マイちゃんだった。
――どうせ、途中で見捨てる
『私(隅田)の友だち』を自称する人間は多くいたが、それは虐めを隠すためとか親分子分の関係などを認めない言い分でしかなく、私も空想上のでっち上げだと思っていた。
彼ら・彼女らを私は未だに許してないし、会ったら私が味わった分だけの屈辱を味合わせたうえでネットで個人情報をすべてバラす。
うん、鬱屈しているねぇ。(今でもそう言う感情はあるけど)
でも、彼女は違った。
経歴も歳も、性別は同じだけど、住んでいる環境も特性も違う。
なのに、話が合う。
彼女は、膜の外を見せてくれた。
具体的には、映画(これは、私の趣味になった)やファッション、持病の考え方……
――普通ならこっちが文学などを教えるべきなのに……
ある喫茶店で私はアイスコーヒーを飲みながら聞いた。
「自分といても楽しくないでしょ? 屁理屈屋だし、常識ないし……」
と、この時、初めてマイちゃんが怒った。
「何でそんなこと言うの!?」
私は理由が分からなかった。
「だって、そうじゃん」
彼女はこう反論した。
「隅田さんは
「は?」
「私ね、ずっと『いい子』を演じていたの。家でも学校でも…… でも、隅田さんはどんなに酷いときでも傍にいて、どんな時でも話を聞いて何も言わない。批判も頷きもせず、いつも通りにしてくれる。それが、どれだけ私を救っているか……」
正直に書こう。
今でも分からない。
でも、これは周りの人も時々、言うことだ。
――成長しているのに自覚がない
――本当に助かって感謝しているのに言われると照れて否定するか不思議そうな顔をする
でも、少しずつ、交流する中で『この事に関してはNGだな』と思い、否定的な言葉はあまり使わなくなった。(過去の私に置いてである。今でもネガティブがノーマル状態です)
すると、世界は一気に変わったのだ。
続く
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