第3話

もうびっくりした。

こんなことがあって良いのかと。

かつて壊滅寸前にした世界。

目覚めた時、私はなにやらカプセルのような物の中に拘束されていた。


はて?まさか私の結界を破られるまで、人類は進化していたのか?


「起きたぞ!」


「誰だ?そしてここは何処だ?」


「黙れ。お前は殺さなければならない。」


怒りと憎しみに満ちた悍ましい声だ。

後ろには、軍が控えてるらしい。

私はカプセルに保護されていた?

なんなく拘束を解いて、彼らと会話を試みる。


「私は、あの時趣味で世界を壊滅寸前まで追い込んだ。だから、今はもう戦いたくはない。」


なんだ?

右腕に三発入ったな。なかなか痛い。

どうやら猛烈に恨まれているらしい。

本当に戦いたくないのに。







軍は壊滅し、私は今何処かの町にいる。

金属の塊が空を飛び交い、半分機械のような人間もいる。

私は何年寝ていたんだ。


ああ、何故あんなに恨まれていた私がここに居られるのかって?


擬態だ。


世界は私を凌駕したと思われたが、寝ている間に、私も強くなっているらしい。

それで、擬態もできるようになった。今は軍の誰かの格好だ。


疲れたので、宿に入る。

金も身分証も奪ってきたからな。

米を食い、風呂に入り、布団に潜る。


ヒコザルは長い眠りについた。


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