第21話 助かったぁ!
「それでは、太郎さんの慰労会(笑)始めましょう。」
「おいちょっと待て、何で笑った?」
「まぁまぁ、そんなことは気にせずに。食べましょう。」
ハッハッハ、と乾いた笑いが聞こえる。
「ホントお前、仕事以外だと急に失礼だよな?」
「奢りと聞いて態々来てあげたんです。感謝してください。」
あの後、命からがら逃げた私はプリザーから元に戻って医者に診てもらった。
……ギュンター?誰だそいつは。
身体的外傷はないと診断され、ホッとした次の日、つまり今日にDと一緒に回転寿司に来た。まぁ、回ってないけど。
Dが休みの日に連絡して、起きたことを話そうと思ったのだ。
「それに、高い寿司じゃなくても帰らない部下に感謝してほしいもんですよ。」
愚痴りながら注文を終えるD。
「それは悪かったな。それで送ってくれた変身アイテムの話なんだけど……」
「休みの日に仕事の話ですか?」
心底嫌そうな顔をするD。
「………」
「分かりましたよ、聞きます。けどこれに色をつけてくださいね?」
Dが机の下からスッと親指と人差し指で円を作る。
「……まぁ、いいよ。」
「寿司来ましたね。」
「お!さてさて……」
「あ、これ私の分なので。」
「………だね。」
睨まないでくれよ……
…………とまぁ、こんな感じ。」
「大変でしたねぇ。それで?」
「とりあえず、名前はプリザーで。他のアイテムにつける名前も考えたし、他の気になる所もまとめたから後でこの資料見といて。」
私は鞄からA4サイズの封筒をDに渡す。
「了解です。…口頭では何かありますか?」
「仕事のことを話すの嫌だったんじゃないの?」
「いえ、一人で全てを任されたからには責任を持ってしたいと思っていますので。」
なんだかんだ言って良いやつだなぁ。
「なら、変身した後に本を持った状態にしたい。姿を変えるときに一回武装を解除して素顔を晒さないといけないからね。」
魔法少女イサドラの時もそれがなければ足が速くなる系の姿に変えればすぐに逃げられたからだ。
いや、まぁ花言葉に固執しなければいけるんだけどそれはちょっと違うじゃん?
……あ、花言葉は万能じゃないとかの主張は受け付けてませんので。
「それって、栞と選択した花のページのみで武装を展開するってことですか?」
「まぁ、そうなるね。」
「うーーん、今のままだと無理ですね。あまりにもリソースが足りなさすぎます。ページ一枚で出来たらそれは最適解ですがねぇ。
将軍や魔法少女のように理解不能な力の源の解析や、将軍自身が協力してくれれば可能だと思いますが。」
「解析出来そう?」
しばらく考えた後Dが答える。
「最低でも二十年。もしかしたら私が死ぬまで分からないかもしれません。」
「そっか……」
「将軍に頼まれないのですか?」
「うーーーん、それはちょっと……」
「恥ずかしくてしたくないんですか?」
ぐふっ!?棘が痛いよ……
「……………………」
「幼馴染みと聞いてるので、どうせ恥ずかしい姿とかいっぱい見られてるんでしょう?なら今更じゃないですか。」
「うぅ……」
的確すぎる……心当たりしかねぇ………
「…………ハァー、私も一緒に頼みますから。そうすれば解析の手立てになるかもしれませんし。」
「マジ!?」
そ、それなら!
「急に大声を出さないで下さい。」
「い、良いんだな?」
「はい。そう言ったでしょ?」
「分かった!なら一緒に頼もう。」
あぁーめっちゃ気が楽になったわ!
その後、二つ返事でオッケーしてくれた将軍だったが、Dが余計なことを言ったせいで三人(将軍の奢り)で食事に行った。
ウキウキルンルンの将軍を見てビックリしているDはちょっと面白かったのは内緒だ。
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本=プリザブック
栞=ブックマークギア
ページの機械植物=ギアフラワー
名称はこんな感じ
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