当たり前という幸せを

 お風呂が完成した日から1ヶ月ほど経過した。あれからは特に大きな出来事はなく、穏やかな日々が続いていた。基本的にわたしが何かを作らない限りは変化は起きないので当然のことではあるが、こういう特別なことが特にない日々というのもやはり悪くないなと思う。

 エイナは1年ここで過ごしていることもあり、みんなのお姉ちゃんといった感じだ。誰かの力になれることが嬉しいみたいで、みんなが困っていたら、すぐさま手伝いに行っている。わたしと二人きりの時は今まで通り素直に甘えてくれているので、すごくうれしい。

 ナツメは積極的に色々な作業を手伝ってくれている。何もしないでいるのが苦手みたいで、いつ見ても何かしらの作業に取り組んでいる。体を壊すようなことがないように、ちゃんと見守らなきゃいけないね。

 セツは運動するのが大好きみたいで、毎日のように村の敷地内を走り回っている。フカミもそれに付き合って、よく運動しているのを見かける。わたしも一緒に運動することもあるが、走るだけでもすごく楽しい。自由に体を動かせるって、本当に幸せだな。球技とかも教えたら一緒にやってくれるかな?

 レイとメイは二人一緒ならどんな時も楽しそうといった感じだ。体を動かすのも嫌いではなさそうだが、少し前にあげた魔道具を使って遊ぶのが楽しいみたいだ。現代で言う3Dプリンターのようなもので、フィギュア的なものを作れる魔道具だ。それを使ってレイは植物を、メイは動物をよく作っている。

 みんなの好きなものや苦手なものも、大体は分かってきた。とは言え、まだ知らないことはいっぱいある。それに、もっと仲良くなりたい。どうすればいいかはわからないけど、頑張っていきたいね。





 その日は、特に何かがあったわけではないが、真夜中に目を覚ました。横を見るといつも通り隣でエイナが眠っている。うん、かわいいね。


(珍しいな、こんな時間に目が覚めるなんて。今は、深夜かな? だったらすぐ寝ても問題はないけど……うん、せっかくだし、ちょっとだけ外に歩きに行こうかな)


 わたしは布団から出ると、外へと出た。空を見上げると、星が綺麗に輝いていた。


(あぁ、綺麗だな。こっちに来てから何度か見てるけど、やっぱり飽きないな)


 これを見れただけでも、目が覚めてよかったと素直に思う。

 それから10分ほど星を眺めた後、部屋へと戻った。変わらずエイナは幸せそうな表情で眠っていた。


(幸せだな。何でもない普通の日々が。うん、明日もこんな日が続いてほしいな、本当に)


 わたしは、布団に入ってエイナをぎゅっと抱きしめると、そんなことを考えながら、再び眠りについた。





あとがき

 はい、皆さん、お久しぶりです。まず言い訳なんですけど、何というか、自分の中でキャラの解像度が上がり切ってないからか、筆が全然進まなかったんですよね。そういうわけで、みんなのキャラを固めていたら、こんなに時間が経ってしまいました。いやマジですみません。

 次回は、ナツメがメインのお話になります。お楽しみに。


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生エルフは日常を愛す 榊原修 @sakakibara2539

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ