お風呂は良いね

 あの後、とりあえず区切りを作って全員で入れるようにした。とは言え、レイとメイはいっしょがいいだろうし、フカミが一人になっちゃうのもなんか嫌だし、顔だけは見えるぐらいな感じにしておいた。うん、多分、大丈夫でしょ。大丈夫だよね?


(わたし自身が、ちゃんと羞恥心持ってたらこんな風に困らずに済んだんだろうけど……裸を見られるって、普通恥ずかしいことだよね。何で気づけないかなぁわたしは。うぅ……常識を身に付けないと)


「うん、これで、おっけー、かな?……大丈夫、だよね?」

「う、うん。わたしは大丈夫、かな? みんなも、いいよね?」


 みんなが頷いてくれたのをみて、心底ほっとした。個室のお風呂も作らないといけないな……今更だけど、水着とかタオルとか使えば仕切り無くてもいいのでは? あ、いや、それでも恥ずかしいかな? まぁ全裸よりはましだし、とりあえずタオル渡そっか。そして早くお風呂に入ろう。





「あぁ……きもちいい、ね」

 

 入った瞬間、何というか頭を使うのが馬鹿らしくなるというか、お風呂が心地よくて、全部どうでもよくなるというか、うん、気持ちいい。


(やっぱり、お風呂は良いね。みんなも気持ちよさそうだし、作ってよかったな。フカミは、大丈夫かな? ちゃんとお風呂の良さ、味わえてるかな?)


「フカミ、お風呂、気持ち、いい?」

「……うん。すごく」

「レイ、メイ、おぼれて、ない、よね」

「だいじょーぶだよー。きもちいーねーレイ」

「うん! ハツキお姉ちゃん、おふろ作ってくれて、ありがとう!」

「わたしが、作りたかった、だけ、だから、お礼、なんて、いらない、よ」

「それでも、ありがとう!」

「……そっか。それなら、素直に、受け取る、よ」


(嬉しいな。完全に自己満足にやったことだとしても、喜んでもらえるっていうのは。こんなに大規模な施設を作るのは、たまにでいいけど、色々なものを、これからも作っていきたいな)


「エイナ、癒されてる?……エイナ?」


 エイナの返事がなかったため、視線を向けると、どう見てものぼせているエイナがいた。


「エイナ! 大丈夫⁉」

「……あ、ハツキ……うん、大丈夫、だよ?」

「……大丈夫じゃ、ない、ね。あがろうか」

「……うん……あがる」


 みんなにも、のぼせる前に上がるように言い、着替えを用意してから、エイナを布団に寝かせに行った。


「ごめん、ね。すぐに、気づけなくて」

「あはは……私が、何も言えなかったのが悪いんだから。気にしないでよ。お風呂は、すっごく癒されたし、ありがとう、ハツキ」

「……強がらない、で。エイナ。こんな、時、まで、わたしを、気遣わ、ない、で。おとなしく、休んで」

「……うん。わかった」


(浮かれてたな……気を付けないとだね。わたしと違って、みんなは簡単に死んじゃうかもしれないんだから)


 わたしの不注意で、誰かが傷ついたりしないようにしようと、そう、心に決めた。





あとがき

 難産でした。お風呂シーンって難しいね。

 次回以降は、一人一人に焦点をあてて書いて行こうと思っています。みんなの魅力をちゃんと出していけるように頑張ります。

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