異世界って感じ

「あのーハツキ、なにこれ?」


 エイナはわたしがたった今完成させた施設を見てそう言った。


「さぁ? 何、だと、思う?」


 中を見ればすぐわかるのだから教えても問題はないのだが、簡単に教えちゃうのも面白くないと、そう思った。


「むぅ……ハツキの意地悪ー。すごくは大きいこと以外他の建物とあまり違いは無いしなぁ……わかんない」

「そっか。中を、見たら、分かると、思うから……うん、せっかく、だし、みんなも、呼んで、くれる、かな?」

「うん! わかった、行ってくるね!」


 走っていったエイナを見ながら、完成させたお風呂を見る。お風呂というか、大きなお風呂のある建物というべきだろうか? 前世で一度だけ行った旅館をイメージして作ってみたが、かなりいい出来だと思う。ここまで大きくする必要はなかったような気はするが。


(まぁいっか。大きくて損をすることは無いだろうし、わたしもおっきな風呂に入ってみたかったし! 前世では結局入れなかったからな……温泉とか、この世界にあるのかな? いつか探してみようかな?)


「ハツキー。みんな連れてきたよー!!」

「うわぁ……滅茶苦茶おっきいね。ほんと何でこんなのが一日も経たずにできるの? ハツキさん」

「ハツキ様なのだから当然のことでしょう! すごいです!」

「それで納得していいのかな? で、この建物は何なの、ハツキ姉さん」

「教えてお姉ちゃん。レイ、知りたい!」

「メイも、メイも! 教えてよ!」

「うん、もちろん。その前に、とりあえず、建物の、中に、入ってみよう、か」

「「はーい!」」


 わたしがそう言った瞬間、レイとメイは扉へと突撃していった。他のみんなも遅れて入っていった。その様子をほほえましく感じながら、わたしも建物に入る。かなり凝って作ったこともあり、内装も自分でもきれいだと思えるいい出来になっていた。


(今更だけどこれ、いつか誰かがこの村を訪れることがあったら、本当に旅館として活用できそうだね。 そんなことがあればいいんだけど……あれ、そういえば、この世界ってお風呂って概念あるのかな? エイナがそういう話をしていたことは無いし、水浴びとかは本来するかもだけど、魔法で綺麗にできてたし……まぁ、いっか)


 お風呂という概念があるなら何の問題も無いし、ないとしてもお風呂は間違いなくいいものだから喜んでくれるだろう。それに――


(こういうのって、何というか異世界って感じがするな。今更感はあるけど、なんか、いいな)


「わーーー!! なにこれ! 広ーい!」


 考え事をしながら歩いていると、エイナがそんな風に驚くのが聞こえた。おそらくお風呂を見つけたのだろう。


(このリアクションは、やっぱりお風呂って概念はないってことかな? なんだか嬉しいな。驚いてもらえるのも、知らないことを教えてあげられるのも。みんな、エイナの方に行ってるみたいだし、わたしも行こっか)


 



あとがき

 はい。久しぶりの更新です。また遅れました。こういうちょっとした感じの日常を書くのって難しいですね。派手なイベントがあったほうが筆が進むというかなんというか。まぁこういう話を書きたいと思ったのは自分なので、頑張りますとも。

 次回は、ハツキのちょっとおかしな部分が見られると思いますので、お楽しみに。

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