それぞれの選ぶ人生

 ワープしたのは盗賊たちがいた洞窟の前、わたしは杖に魔力を貯めるとその洞窟を埋めていった。最低限、雨宿りくらいには使えるスペースを残して、洞窟をふさいでいく。もうこんなことに利用されないように。

 それが終わると、周囲を飛び回り、本当に盗賊たちがいなくなっているかを確認した。流石にいなくなってるだろうとは思いつつも念のために。


(あれだけ脅したんだから、いなくなってるよね?)


 昼頃まで調査をし、盗賊たちの姿が一切見えないことを確認し、わたしは再びワープして、家へと戻った。


「あ、お帰り! ハツキ」

「ただいま。エイナ、それに、みんなも……みんな、これから、どうするか、決まった?」


 みんなの表情を見れば、なんとなく決まっているのはわかったが、そう聞いた。そして、みんなは答えた。自らの選択を。





 子供たちの多くは家に帰ることを選んだ。逆に残ることを選んだのは5人。白い毛で、青い目をした猫の獣人で、この中で一番年上のナツメ。その一つ下でワインレッドの髪と目をした鬼人のセツ。和服が似合うと思うので絶対に着せたい。私と同じエルフで双子のレイとメイ。レイはぱっと見では女の子にしか見えないが男の子らしい。髪は二人とも金色でレイは水色、メイは橙色の目をしていた。エイナよりも年下で、8歳らしい。最後の子はこの世界における魔族と呼ばれる少年のフカミ。正直普通の人との違いがほとんどないように見えるけど、まぁそういうものなんだと理解しておこう。年齢は12歳らしい。

 私とエイナだけだったのが7人になったため、超小規模だがここも村と言っていいものになったのではないだろうか。素直にそれは嬉しいと思う。だが、それよりも今は大事なことがある。


「みんなを、家族の、所に、連れていく、わけ、だけど、だれから、行く?」


 一度も行ったことがない場所にワープすることはできないため、家が近いとかでない限り、基本的には一人ずつ連れていくことになる。可能な限り爆速で行く予定だけど、今日だけで送ることはできないだろう。だから、順番は決めてもらわないといけない。

 少しして、最年少であるセナが一番最初ということに決まった。


「うん、わかった。それじゃあ、行く……前に、お昼ご飯、食べよっか」


 いい時間だ。みんな揃ってもう一度くらい食事がしたい。思い出は多いほうが絶対にいいから。

 わたしが料理を始めようとすると、みんなが手伝いたいと言ってくれた。素直にその厚意を受け、一緒に料理をすることにした。みんなで作る料理は、本当に楽しく、一人で作ったものの何倍もおいしいと感じた。





あとがき

 主要メンバーの見た目と名前が決まりました。全員のキャラをはっきり出せるようにする予定なので、お楽しみに。


 

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