幸せな未来を願って
「じゃあ、みんな、おやすみ」
あれから家を建て終え、良い時間になったので、みんな布団に入った。ナツメたちは疲れていたのもあって、すぐに寝たみたいだ。起きているのはわたしとエイナだけだろう。わたしたちはいつものように一緒の布団に入った。
「ありがとう、ね。エイナ」
「いきなりどうしたのハツキ?」
「今日は、エイナに、本当に、助けられた、から」
「……私、何もできなかったよ?」
「ううん。エイナが、ずっと、そばに、いて、くれた、から。エイナが、手を、離さ、ないで、いて、くれた、から、わたしは、頑張れた、の。だから、ありがとう」
「……そう、なんだ。そっか、私ちゃんと、ハツキの支えになれたんだ」
エイナは嬉しそうな、どこかほっとしたような表情をしていた。多分わたしも同じような表情をしているんだと思う。洞窟を出てからずっと、エイナの表情の中に、どこか不安そうな感じがあった。感謝の気持ちはやっぱり言葉にして初めて伝わるんだと、実感する。これからも、ありがとうはしっかり伝えるようにしよう。
「ねぇ、ハツキ。これからどうするの? あの子たちのこととか、ここのこととか」
「そう、だね……子供たち、は、約束した、通り、家に、帰して、あげる。ただ、帰る、場所が、ない、子は、ここで、暮らせる、ように、する。わたしが、みんな、の、居場所を、作る」
子供たちの中にはナツメのように、親がもういない子もいるんだろう。居場所が、もうない子が。そんな子たちの居場所を、わたしは作りたい。それがわたしのやりたいこと。この世界で、わたしだから、永遠の命を持つわたしだからこそ、できることだと、そう思う。
「ここが、いろいろな、人が、一緒に、仲良く、過ごせる、村、みたいな、感じに、なったら、いいなって、思う、の」
「きっと、そうなるよ。だって、ハツキがいるんだから。絶対に作れるよ」
「エイナも、一緒に、作るん、だから、ね。この、村は。わたし、だけじゃ、だめ。エイナと、一緒じゃ、なきゃ、だめ。だから、これから、頑張ろう、ね、エイナ」
「……うん!」
エイナがいて、みんながいて、それで初めて作れる未来だ。私ひとりじゃ願うことすらできない未来だ。だけど、今なら願える。幸せな未来を。
「おやすみ、エイナ」
「うん。おやすみ、ハツキ」
あとがき
ハツキがこの世界でやりたいことが、ちゃんと定まりましたね。永遠の命があるからこそ、必ず誰かの居場所になれる。そう、ハツキは思えるようになりました。
あと、この作品は必ずハッピーエンドになりますのでよろしくお願いします。ifルートとかで、バッドエンドも書くかもしれませんが、本編に関してはハッピーエンドです。ほのぼの作品として書き始めたからには最後までほのぼのさせます。
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