「とりあえず、家を、建てよっか」
ご飯を食べ終わり、時間のこともあるため、子供たちはすごく眠たそうだ。早く家に連れていかないと地面で寝ることになるな……あれ? そもそも寝る場所足りるかな? あっち側に移動する方法を考えるのは当然なんだけど、寝る場所も作らなきゃか。やることが多いね。
「どうしよう、かな? ワープとか、できる、かな?」
(結局大事なのはイメージなんだよね? だったら……うん、やってみよう。きっとできるから)
「みんな、集まって、くれる? 今から、わたしの、家に、行くから、みんなで、手を、つないで、輪を、作って、くれる、かな」
「うん、分かった」
「了解だよーハツキ」
エイナとナツメが中心になって、みんなを集めてくれた。
「全員オッケーだよ、ハツキ」
「うん、ありがとう、みんな。じゃあ、行くよ」
(集中して、人をワープさせるんじゃなくって、わたしたちを含む周囲の空間を丸ごと移動させるイメージで……よし)
「テレポート」
魔法はイメージ通りに完璧に動作し、わたしたちは家の前のスペースへとワープしていた。子供たちは急にワープしたことに驚いていた。
「ようこそ、わが家へ。歓迎、するよ、みんな」
「歓迎するよー!」
わたしたちの言葉に、笑顔で返してくれた子供たちを見ると、すごく微笑ましい気分になる。
「ねぇハツキ、どう考えても寝るスペースが足りない気がするけど、どうするの?」
「やっぱり、そう、思う、よね? うん、とりあえず、家を、建てよっか」
「今なんて言ったのハツキ?」
「家を、建てる、今」
「……私の知っている家は、建てようと思ってすぐに建つようなものじゃないと思うんだけど……」
わたしは、エイナに対してとりあえずにこりと笑顔を向けておいた。流石に全く同じ建物を何軒も立てるというのは見栄えが良くないから、他の家を建てるとして、外見は国を遠目で見た時の家を使えばいいかな? 内装は……アニメとか漫画で見たやつをそのまま使えばいっか。
「ねぇ、エイナさん」
「エイナでいいよー。どうしたの? ナツメちゃん」
「ハツキさんは、いったい何をしようとしてるの? 家を建てるって聞こえた気がするんだけど……エイナは何か分かるの?」
「分かんないね。ただ、ハツキはわたしたちにできないことや想像できないことが、普通にできる人だから、多分、言葉のままのことをしようとしてるんじゃないかな? ほら」
「えぇ……」
何かエイナたちが話していた気がするが、集中していたので細かい内容は聞き取れなかった。とりあえず一軒家を建てることができた。他は……カラーを少し変えればいいかな? それだけでもいい感じになるだろうし。
「エイナ。内装が、どんな、感じか、見てみて、くれる?」
「……うん! わかったよー」
「私も手伝うよ」
「おっけー。じゃあ一緒に行こうか。ナツメちゃん」
「うん、エイナ」
二人が仲良くしているのを見られるのは、とても癒されるね。ナツメがこれからどうするのかは分からないけど、よければこれからも仲良くしてほしいな。
「すごーい!! このお家、お姉ちゃんが今つくったの?」
「うん、そうだよ。あと、いくつか、立てる、から、気に入った、家に、入って、くれれば、いいよ」
「はーい」
一つ目を建て終えたので、色を変える以外は比較的に楽に建造できる。そんな風に家を建てていきながら思う。
(なんというか、家が一軒しかなかったときは思わなかったけど、ここが一つの村みたいになってきているな。すごく、いいね、この感じ)
いつか、いろんな人がここで暮らすようになったなら、それはきっと幸せな日々になるだろうな。
あとがき
ほのぼの感をもっと増やしていきたいですね。しばらくはこういう感じが続くはずなので、お楽しみに。
あと今更感はありますが、この世界の子供たちの精神年齢は普通よりも高めです。環境的にそうなっちゃうよねーっていう。特に、奴隷にされちゃうような目に遭うことがある獣人みたいな亜人たちはねって感じです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます