もう、会えないけど

 何かすごい驚かれた。わたしは正直に答えただけなんだけど······いやこの見た目で24歳は確かに驚くねこれ。


「ハ、ハツキって、そんなに年上だったの!?」

「うん、そう、だけど······エイナは、わたしを、何歳、だと、思ってた、の?」

「確かに大人って感じはしていたけど、15歳くらいだと思ってたよ?」

「そう、なんだ······」


 若く見られるのは嬉しいけど、なんと言うか、すごい何とも言えない気分になる。

 地味に気まずい空気が流れる中、お腹の鳴る音が聞こえた。エイナからだ。


「······ご飯に、しよっか」

「······うん」

「みんな、何か、食べたい、もの、ある? あったら、言ってね」


 そういうわけで、とりあえず食事にすることにした。子供達もお腹はすいているだろうし、ちょうど良いだろう。

 そして、料理を作り終えて、みんなが食べている様子を眺めている。なんと言うか、美味しい食事は本当に空気をよくするなって思った。料理、練習してよかった。

 エイナもみんなと会話していて、とても楽しそうだ。うん、やっぱり助けてよかった。

 そんな風に微笑ましい気分でみんなを眺めていると、背が高めの獣人の女の子、ナツメが話しかけてきた。


「ハツキさんって、お母さんみたいだね」

「そう、かな?」

「うん······死んじゃったお母さんに、そっくり」

「······」

「優しくて、料理が上手で、私達を守ってくれたところとかが」

「良い人、だったん、だね」

「うん。ねぇ、ハツキさんはどうしてこんなにも私たちに優しくしてくれるの?」


 どうして······わたしはどうして、人に優しくしてるんだろう? エイナを助けたのも、ナツメ達を助けたのも、わたしにはやらなきゃいけないことではなかった。でも、わたしは助けた。その理由は、きっと──


「優しく、されて、嬉しかった、から、かな?」

「優しく、されて?」

「わたしは、昔、身体が、弱かったの。誰かの、助けが、ないと、生きられ、ない、くらい」

「······」

「そんな、時、お父さんと、お母さんは、わたしを、ずっと、支えて、くれた。わたしは、それが、嬉しかった」

「もう、会えないけど、わたしは、二人の、恩に、応えられる、ように、なりたい。二人が、誇れる、人に、なりたい」

「だから、わたしは、二人が、してくれた、ように、誰かを、助けたい、と、思ったの」

「わたしが、そう、するのが、正しいと、思った、から、わたしは、みんなに、こう、してる、の」


 自分でもはっきりとは考えてこなかったことだったけど、わたしはきっと、誰かのために生きたいんだと思う。 だから、わたしは人を助ける。それがきっと、わたしのやりたいことだから。


「そう、なんだ······ハツキさんは、すごい人だね」

「そんな、ことは、ない、よ」

「ううん、すごい。わたしはそう思う」

「······そっか、ありがとう」

「ねぇ、ハツキさん。おかわりってもらえる?」

「うん。もちろん、だよ」

「わたしもわたしもー!! もっと食べたーい!!」

「ぼくもー!!」


 笑顔でおかわりを欲しがってくれるのを、素直にうれしく思いつつ、わたしはおかわりの準備をした。





あとがき

 ハツキの根底にあるのは、家族という存在です。だからこそ、家族に誇れるように生きようとしていますし、今も家族の代わりを求めています。

 あと、ハツキは常に調理道具と食材を持ち歩いています。アイテムボックスって、便利ですね。

 子供達は、とりあえずナツメだけは名前を出せましたね。流石に30人全員は無理ですが、今後出番がある予定の子はちゃんと名前を出す予定なのでお待ちください。(まぁどんなキャラにするかも決まってないんですが)

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