第4話 吐くように 唄うように
1週間後
ここまでくると普通の人は何か尖ったたものが擦り切れて丸みを帯びてくる。
周りから目立たないように
うまく行かない人生をうまく行かせるように
無理をして馴染むように生きようとする。
そして色を失う。
生き生きとした黒いまなこの先にある色達はこうしてただの白へと収束し、死んだ目の大人になっていく。
だが自分は違う
明後日までに書かなければならないものがある。
「人権集会のための人権作文」
頭髪検査だけでもで十分に人権を奪ってきた彼らが行う偽善にもならない形だけの儀式。
どうせみんな色がない。
ただの白なんだろう。
まだ原稿用紙の紙の色の方が色がついて見えるくらいに彼らは白い。
そこに色を塗りつけてやる。
吐き出すように。
黒を吐き出してやる。
そして彼らの心に少なくとも小さな点を埋め込んでやる。
2日後
快晴の中目覚めたこの体は久しぶりの朝食のハンバーグを受け付けた。鏡に映った顔は光を放っていた。
今日は調子がいい。胸の苦しみもないし頭の中のぼんやりとした感触もない。
あるのは自身に対する自信だけ。自分という確固たる意志を信じる意志を背負って。
さぁ 行こう
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