寄り添い眠る

桜 花音

第1話

 寒い寒いって言いながら、彼はベッドで少しでも熱を逃さないかのように丸くなる。

 まったく……丸くなるのはワタシの方が得意なのに。

 そうして丸くなりながらも、きちんとワタシの場所は空けてくれているのよね。

 彼のモゾモゾとした動きが落ち着いたところで、ワタシは彼の胸元へと潜り込む。

 トクン、トクンと響く心臓の音。

 そっと引き寄せる優しい腕。

 安心できるこの場所は、温もり以上にあたたかい。

 夏になると暑くなるから、こうして寝られなくなっちゃう。

 だから寒いのは嫌いだけど、夏にはなって欲しくない。

 ワタシを抱きしめてくれるこの温もりを、もっと感じていたいから。

 節くれ立った指をそっと舐めれば、大きな手のひらで撫でてくれるの。

 ずっと、ずっとこうしていましょうね。

 

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寄り添い眠る 桜 花音 @ka_sakura

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