第10話 逃げんな
照
「照、明日……どうする?」
帰りのチャイムが鳴り響いた後、京介は俺に聞いてきた。
「そんなの……決まってんじゃん。」
「……」
「……じゃあ、また。」
部活のある京介を置いて、俺は家に帰った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
久しぶりに夜、発作なく眠ることができて朝を迎えた。
発作がないだけで、こんなにも体が軽いんだ。
最高だわ。
そう思うけど、今日は体調が悪くないといけない日だった。
朝起きてリビングに行って、
「ごめん、今日休むから。」
「え?」
お父さんはネクタイを締めていた手を止めて俺を見た。
「照……大丈夫……?」
はるくんも泣きそうな顔をして、こっちを見つめた。
「別に、大丈夫、でもちょっと身体だるいから休もうかなって……」
焦った。お父さんが、俺の血中酸素濃度を測ったり、顔色を見たりして、相当めんどくさかった。
途中でいっくんも出てきて、また俺を心配した、
嘘をついている手前、されるままじゃないとおかしいから。
めんどくさいなぁ、だるいなぁ。
そう思いながら、俺は返事を続けた。
やっと家で様子を見ようと言う話に落ち着いて、俺は部屋に戻った。
ベッドに寝転んで携帯を触る。
ガチャ……
「あ、はるくん」
「意外と元気そうでよかった。」
「あぁ。うん。」
「もしかしてさぁ、しんどいのは、体じゃなくて心の方だった?」
「え?」
「最近少し元気なさそうだったから……心配してたんだ。」
「あぁ……まぁ……」
すごいなぁ。……はるくんは。
なんでも分かるんだなぁ……。
「なんか辛いことあったの?何でも聞くよ?」
いつもそうやって、あんまり何も言わない俺を心配して聞いてきてくれた。
入院続きで、しんどかった時も。
お父さんが仕事が忙しくて会えなくて寂しかった時も。
どうしても、治療が嫌な時も。
何でも聞くよ?そうやって俺の気持ちを聞き出してくれた。
でも、今日ばかりは言いたくなくて。
「……大丈夫。1日休めば消化できるから。」
そう言って笑っておいた。
「そっか…。」
悲しそうにはるくんはわらった。
「照は学校楽しい?」
急にそんなことを聞くもんだからビックリして俺は身体を起き上がらせた、
「……なんで?」
「俺は……苦痛だったからさ、笑」
「……そうだよね。」
「無理して欲しくないんだ。」
「うん。」
「俺みたいに、……落ちぶれるまでに、」
「落ちぶれてなんてない、
はるくんは……ちがう、一生懸命頑張ってるじゃん、」
「………ありがと、」
少し話さない時間が続いて、
「お昼は何か食べれそうかな?」
「うん、食べれると思う、」
「じゃあ準備しておくね?」
ニコッと笑って俺の部屋を出た。
はぁ……。学校……楽しいのかな。
家にずっといる、か、学校いく、か……
……うん、どっちもどっちだよな、
なら迷惑や心配はかけない方がいい、
こういうイベントごとの面倒くささはあるけどね。
俺は携帯で漫画を読みながら時間を潰した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
夜、思いのほか早く帰ってきたお父さん、
リビングを開け立ってて、ちらっとそっちを見ると、
「…………なんで黙ってたの。」
「パパ?なんのこと?」
「はるじゃない、照、」
「……」
やば、バレた。
「陸、何言ってんの?」
「……照、黙ってないで何とか言えよ、」
「…………」
「陸、だから、」
「………今日、体育大会……だったんだよな、」
「え……?そう、なの……?」
「そうなの?照」
劣勢すぎると思った俺は、ダイニングテーブルから立ち上がって、部屋に行、
「逃げんな、」
怒りに満ちた手が俺逃がさない
……あー……捕まった、おわった。
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