第7話 受診日
陸人
今日は…………えっと、照が病院だな……。
カレンダーで確認してから、俺は照を起こしにへ向かった。
静かにドアを開けると、ベッドの上で座ってる照がいた。
「おはよ、起きてたんだ、」
「うん」
俺が話しかけると、少しだけこっちに顔を向けた。
ん?何か顔色悪い……?
「……体調どう?ちょっと息苦しい?」
「別に。」
「酸素は?酸素測った?」
「うん」
「どのくらい?」
「いつもぐらい。」
めんどくさそうに短文で答えてくる。
「胸の痛みは?」
「ない」
「喘息の発作とか、」
「ないってば。」
「今日、びょう」
「もうわかってるって。病院でしょ?学校終わり行くから。着替えるから出てって。」
最近、やけに機嫌が悪いなぁ。
なんかぁ、俺らに隠し、
「早く出て行ってよ、」
はいはい。
俺は、ガンを飛ばされながら部屋を出て行った。
照は、ひなの体力が持つ限りギリギリまでお腹にいたけど、超未熟児で生まれてきた。
心臓の動きが弱かったのは、まだ未熟児であったことに加えて、先天的な病気があったからだということは生まれてから知った。
ひなはいい所しかないのに、こんなところを似ちゃってさぁ。
ずっと病院で過ごしたんだよね。
“みんなを照らす光になるように“
“照“
と、ひなが手帳に書き留めていたから、この名前をつけることにした。
ママからの最初で最後のプレゼント。
小さい頃から、何度も生死との境を行き来して、誰よりも痛く辛い思いをしてきたね。
――――――――――――
「はぁっ……ぱぱっ…いっ、たぃ……っ!」
「痛いな、胸引っ掻いちゃダメだよ?パパの手ぎゅーっと握ってな?」
「んんん……ぱぱの…手…いたくな、ちゃう…っ」
「パパ強いから大丈夫。ほら、薬が効くまでぎゅってしてていいから、おいで?」
小さな身体で沢山の事と戦ってきたんだよね。
その中で、どうしても大きな手術が必要になる時が何度かあったんだ。
胸に毎回大きな傷を作って、たくさんの機械に繋がれて、その後は、傷の痛みにうなされて。
また、数年後、動きにくくなって、また切ってまた痛みにうなされて。
そうやって頑張ってきた傷なんだけど、本人はその傷がすごく嫌なようで、小学校の高学年位から、家族の前でも服を脱がなくなった。
隠す必要なんかないと俺は思うんだけど、照が嫌がることなら無理にとは言うつもりはないと思ってる。
陽翔が精神的に崩れてしまってから、かえって照は甘えなくなってしまった。
そういう年頃なのか、
陽翔にどうしてもつきっきりになってしまっていて妬いているのか、
はたまた、気を遣っているのか、
あまり、それに対して話し合えないまま、反抗期を迎えた。
そして心臓病に加えて、喘息を持っている。
喘息自体はそこまでひどくないけど、喘息の発作が心臓のほうに影響してくるから、すごく厄介なんだよね。
朝晩、薬を吸入してっていうのが必要で、ずっと手伝ってきたんだけど
小学校6年生の時に
「俺全部自分でできるから。いつまでも子供扱いしないで。」
いやいや、まだ子供だろ。って思ったけど、
かたくなに手伝わしてくれなくなって、俺は本人に任せることにした。
こんな頑固なところもひなに似てるのかなぁ。
ため息が出ちゃうよ。ほんとに。
本当は病院も付き添いたいんだけどね?
「仕事休んでまで来なくていい、話聞いて薬もらうだけだし。」
そう言われて、また全力拒否。
……はぁ、今日の夜はちゃんと隠さずに言ってくれるかなぁ。
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