第49話 VSアメリカ最高戦力

「———……っ、貴様……」

「ん? いやぁ悪いな、あんまり隙だらけだったもんで。やるなら早く来てくれよ。グダグダしてると椿さんがキレるんだよ」


 1番気配の強い男が鋭い視線をコチラに向けてくるが……正直全く怖くない。

 何なら後ろから感じる『早く終わらないかなぁ……』的な雰囲気を醸し出す椿さんの方が怖いくらいだ。

 早く終わらせるから圧掛けるのやめてくれよな……。


「くッ……うおおおおおおおおおお!!」

「ま、待てッ、ジェームズ!!」


 俺が背後を気にしていると、ジェームズと呼ばれた身長が2メートルはありそうな巨漢が男の制止の声を無視して特攻としか言えないような攻撃を仕掛けてきた。


「へぇ……俺と同じで拳で戦うんだな、アンタ」

「漢は黙って拳で攻めるのみ!!」


 ジェームズが俺の顔面目掛けて何度も拳を振るう。

 対して俺は最小限の動きで避けながら話し掛けた。


「おいおい顔面ばっか狙うなよな。確かに顔面が1番攻撃が効きやすいし楽だけど、俺みたいな人間とか知性のあるモンスターと戦うとこうやって簡単に避けられるぞ」

「ぐッ……俺は本気で攻撃しているというのに……」

「いやいや……そんな大振りで変則性がない攻撃で逆にどう当たれと?」


 俺は試しにジェームズがこれから出す攻撃を予測して、繰り出す前に防ぐ。

 するとジェームズは雁字搦めにされたように身動きが取れなくなってしまった。


「ほら、単純だから全部防げちゃうだろ?」

「くぅッ……ならこれはどうだ———【バーストフィスト】!!」


 その瞬間、攻撃を防いだと思ったら俺達2人を包み込む程の結構な爆発が起きる。

 しかも丁寧にフィストとか言ってるのに蹴りでも肘でも攻撃だと術者が認識したら爆発する仕組みらしい。

 中々に良いスキルじゃないか。

 

「おおっ! 爆発は新しいな! これならたしかに殺傷力上がりそうじゃん」

「クソッ!! 何故俺の爆発を食らってピンピンしているんだ!?」


 何でと言われても……レベル差がありすぎるとしか言えんが。

 てか普通に話すときは英語が日本語に聞こえるように変換されてるのに、技名になるとそのまま英語なんだな。

 

 不思議なこともあるもんだ、と思っている俺の背後に突然気配が現れる。

 反射的に俺が横に飛べば、俺が元いた場所を少女の短剣が空振った。


「チッ、外したか……」

「いや、良い攻撃だったぞ。あと100倍くらい速かったら防御を選んでたかもな」

「おい、アイラ! 何邪魔してんだよ!!」

「五月蝿い。貴様1人でコイツに敵うなら文句言え。それが出来ないなら黙ってろ」

「……チッ」


 ジェームズはアイラと呼ばれた少女に反論することが出来ず黙らされる。

 そして気持ちを切り替えたらしいジェームズとアイラが同時に襲い掛かってきた。

 ジェームズが鳩尾、アイラが背中の心臓部分。

 そして———光の魔力が顔面に向けて真横から。


「おお、良いチームワークじゃん。少しは彰達にも見習ってもらいたもんだぜ」

「———嘘だろ!? これも避けるのか!?」

「チッ、化け物め……」

「嘘ぉ……私の魔法、誰にも避けられたこと無かったのにぃ〜〜!!」


 どうやら光の魔法を撃ったのはグラマラスな金髪美女だったらしい。

 正直大変けしからん服を———。


「———やめてくれません、椿さん?」

「あんな痴女みたいな女に見惚れるな馬鹿者。処すぞ」

「もう攻撃してますやん……」


 お怒りの椿さんが石を超パワーアップしたプレイヤーとしての力で俺にぶん投げてきた。

 勿論避けたが……普通に違う意味でドキッとするのでやめて欲しい。


 俺が心臓を押さえていると、金髪美女が艶やかな笑みを浮かべ、わざと女の魅力を主張するような体勢で尋ねてくる。


「あらぁ……坊や、私に興味があるのぉ?」

「いや、興味無いっす」


 勿論興味は欠片もないですよ。

 だから再び石を手に持つのはやめましょう、椿さん。


 俺はこれ以上続けるとあの金髪美女と椿さんに翻弄されそうな予感がしたので、取り敢えず3人を片付けることにした。


 軽く息を吐いて足に力を込め、コンマ1秒も掛からずジェームズに接近。

 俺が元いた場所を未だ見つめているジェームズの腹に手を置き———。

 


「———悪いな」

「ゴホッッ!?!?」


 

 ———加減して押し出した。

 その瞬間ジェームズの身体はくの字となって空に打ち上がる。


 よし、あと2人。


 俺は再び加速。

 今度はアイラの背後に回って首に手刀を落として気絶させる。

 

 よし、あと1人。


 身体が弛緩するアイラを横目に金髪美女の下に移動。

 アイラと同じ様に手刀で意識を落とそうとして———恐らく最後の1人である1番強い気配を纏った男が操作しているであろう剣が俺達の間を通り過ぎた。


「うおっ、これに反応出来んのかよ」

「……俺の予測では当たっていたはず……」


 俺は予想外の反応に驚き、男は俺の予想外の動きに驚いたようだ。

 試しに虚空に拳を振るって衝撃波を飛ばしてみるが……それも全て避けられた。

 

 すげぇ……完全に見切って避けてやがるぞアイツ……。

 でもおかしいな……レベル1000未満で音速の10倍の速度は反応出来ないはずなんだけど……。

 考えられる理由としては……。



「———時間干渉系の能力か」



 俺がそう言うと、男がニヤッと笑う。


「正解だ。まぁ教えんがな」

「別に教えて貰おうなんて思っちゃいねぇよ。ただ……随分と便利な能力持ってんな」

「まぁそれ相応のデメリットはあるがな」

「因みにもう弱点見つけたんだけど。例えば……」

「なに———ッッ!?!?」


 俺は一瞬にも満たぬ間に男の懐に入り……拳を振るうと同時に反対の拳で空を穿ち、衝撃波を放つ。

 流石に衝撃波には男も対応出来なかったらしく、思いっ切り吹き飛ぶ。




「———少しズラした複数の攻撃には対応できない……とかな」




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