第24話 ヤバい奴、組織と敵対する
「———で、君は何者なんだ? 異能連合なんて物騒な組織を知ってんなら一般人じゃないだろ」
組織の奴らを撒いた俺は、2人がいるであろう学校に向かいながら雑談がてら訊いてみた。
すると俺の腕の中で小さくなっている少女は瞳孔を中をぐるぐると回して答える。
「わ、私は……あ、アリサ・エル・オルダーですっ! 生まれはニューヨークで、15歳のアメリカ政府直属プレイヤーしてます! 今のレベルは311ですっ! アリサって呼んで下さいっ!」
お、おお……思ってた10倍めちゃくちゃ凄い人だった……。
俺はそんな凄い人をお姫様抱っこしている現状が物凄くいけない気がして降そうとするが……キュッと俺の袖を掴んで顔を俯かせながら口を開いた。
「こ、このままでお願いします……」
「あれ、怪我でもしてんの? プレイヤーなら折れても1、2時間でくっ付くけど……」
「ち、違います……! ただ……そう! さっきので腰が抜けて動けなくて……」
「ふーん……ま、別に軽いしいいか」
俺は崩れた橋を足場にして軽々と川を飛び越え、その先のビルに着地する。
どうやら俺は大分遠くに来てしまっていたらしく、まだまだ学校は見えない。
あのクソボス……どんだけ離れた場所に行ってたんだよ。
戻るのめっちゃ面倒じゃねぇか。
俺は内心ブツブツと文句を垂れながら、学校へと急いだ。
学校へはあれから数分で到着した。
その間に色々とアリサに尋ねたが……彼女はその全てに嘘偽りなく答えた。
因みに俺は気配感知で嘘が判る。
それで質問した結果———アリサは任務のために此処にやって来たらしいが、何か俺に弟子入りしたいからと言って政府へ嘘の連絡をしたのだとか。
一応事実も織り混ぜているので、バレる心配はない、とアリサは断言した。
まぁ本音を言えば、彼女みたいな不穏分子とはあまり関わりたくないんだよな。
絶対面倒だし。
しかし彼女を此方に付けておけば、少なくともアメリカからのちょっかいは掛けられなくなるらしいので、近くにいて貰わざるを得ないのだ。
ただでさえ『異能連合』とかいう怠い組織と揉めているからな。
あ、そうそう。
異能連合といえば……。
「アイツら……マジで何してんだよ……。これはどう言う状況だ?」
何故か俺が学校に戻ると、彰と草薙が20人を超えるバトルスーツを着た組織の者達に囲まれていた。
しかも、2人とも満身創痍の状態らしく苦しそうな表情を浮かべている。
「あ、あれがゆ、維斗様のご友人……?」
「この際様呼びは置いといて……まぁ大体そんな感じだ」
呆けた様子で問い掛けてくるアリサに、途中から面倒になって適当に締め括る俺。
そんな俺達は、学校に立つ1本の巨大な木の背に隠れながら2人と組織の者達の様子を窺っていた。
「貴様らは何処の所属だ!?」
「だからそもそも所属って何なのって聞いてんのよ、こっちは!」
「なら未登録覚醒者だな!?」
「また知らん単語出たよ……もうヤダ」
どうやら彰は元気そうだ。
あんな軽口が叩けるならもう体力も殆ど回復してんだろ。
と言うか、本当にまた知らん単語出て来たな……。
———-未登録覚醒者。
政府か組織かは知らんが、恐らく彼らが把握するリストにいないプレイヤーのことだろう。
まぁだから何だ、と言う話なのだが。
てか、なんか面白そうなのでもう少し見ておくとしようかな。
「此処ら一帯のモンスターの殆どをお前達が倒したらしいな」
誰か知らんガタイの良い男が物凄く上から目線で発言しているが……俺なら恥ずかしくてそんなイキった態度出来ないね。
「な、なんて図太い……自分達はほぼ何もしてないくせに……」
ほら、アリサもそう言ってるぞ。
何してんのよ異能連合。
俺が内心呆れ返っていると……流石俺の親友なだけあり、彰が盛大に吹き出した。
「ブハッ!! ギャハハハハハ! こ、コイツ頭おかしい……! 自分達は何もしてないのに『此処ら一体のモンスターはお前達が倒したらしいな』って……アホだろ! なぁ草薙、俺以上の馬鹿がいるぜ! 絶対知力50以下で草ぁ!」
「き、貴様……此方が下手に出ていたら良い気に……」
「え、下手? 超絶上からの勘違いでは? 貴方、下手に出るって言葉の意味知ってますか? ま、俺の方がアンタより1枚上手みたいですけど」
そういって爆笑する彰と、怒り心頭といった感じに顔を真っ赤にしてプルプル震えている組織の男。
取り敢えず口喧嘩は彰の圧勝だったな。
「あ、あんなに組織の人間に言う人がいるなんて……」
「あー……彰は何も考えてないからな。その場のノリで生きてる様な奴だし」
「え……」
それならマズいんじゃ……的な目を向けるアリサとほぼ同タイミングで顔を真っ赤にした男が吠えた。
「巫山戯るなよガキ共ッ!! 貴様ら未登録覚醒者のくせに『異能連合』の俺に逆らうなんぞ、断じてあってはならない———ッ!?」
「いいぞ、続けて」
俺は、彰に放たれた銃弾を一瞬にも満たない間に移動して摘む。
そんな突然現れた俺に驚いて言葉を止めた男に発言を促すと……先に彰が嬉しそうに口を開いた。
「維斗! お前、いつの間に戻ってたんだよ!」
「ついさっきだよ、彰。ところで……なんか面白そうなことになってんな」
「ねぇ、赤崎君……私はどうすれば良いのかしら?」
いつの間にか涼しい顔で剣の柄に手を掛けた草薙が、俺に問う。
その問いの意味を理解した俺は———。
「ごめん、さっきはどうぞ続けてって言ったけど……やっぱ黙ってて貰ってもいい?」
「ガハッ!?」
物凄く手加減して男の額にデコピンし、死なない程度の力で投げ飛ばした。
突然のことで、相手のバトルスーツを着た人達も、彰も驚いて固まっている。
「草薙、これが俺の答えだ。どうせ敵対してんだ。囲まれたんなら吹き飛ばすしかないだろ」
「良いわ、私も力ずくは好きよ。丁度良いし私の力の確認をさせてもらうわ」
「え、あ、俺はパスするわ。なんか殺しそうだし」
彰が早速戦うのを拒否したので、俺と草薙で残り後19人を相手にするわけか。
ま、余裕だな。
「へばるなよ、草薙」
「貴方はちゃんと手加減するのよ、赤崎君」
「分かってるって、任せな」
「か、かかれぇええええええええ!!」
「「「「「「お、おおおお!!」」」」」」
俺は迫り来る銃弾の嵐を全てはたき落として組織の人間の懐に入り込み、腹にデコピンを撃ち込んだ。
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