第9話 ヤバい奴、レベルを明かす(改)


 ———現在俺達がいるのは第3階層。

 モンスターのレベルで言うと、20〜30レベル程度の雑魚モンスターの現れる階層で、俺がダンジョンを見つけて1ヶ月程で到達した階層である。

 しかし、雑魚などという基準はあくまで俺の基準であり、現在の絵梨達には超強敵を相手にしているようなものだろう。


「はぁ……はぁ……お、お兄ちゃん……し、死にそうなんだけど……」

「絵梨はよく頑張ったな。今のレベルは?」

「ちょ、ちょっと待って……今から見せるから———【ステータス開示】」


—————————————

赤崎あかさき絵梨えり

種族【人間】

年齢【14】

Level【28】

基礎ステータス

体力【174】魔力【203】

攻撃【203】防御【116】

敏捷【145】

固定ステータス

知力【79】魅力【87】

スキル

【風魔法☆2】【魔力操作☆2】

—————————————


 へぇ……1日でこんなにレベル上がってたのか……。

 まぁどうしても自分の身は守れるようになって欲しくて少し急いだのもあるけど。


「凄いな……絵梨は。自慢の妹だよ」 

「も、勿論よ! 自分の身は自分で守れないといけないから!」


 そう言って強がる絵梨。

 しかし、少し赤く染まった頬、ニマニマとする口元など、強がる割には随分と嬉しそうであった。


「ところで……父さん達はどうだ? どれくらいレベルアップした?」

「俺は……25だな」

「私は32よ」


 いや、母さんレベル高いな。

 まぁこの中だったら1番モンスター倒してたし当たり前と言えば当たり前なんだが。


 あの温厚な母さんがなぁ……と、俺は少し遠い目をする。

 そんな俺に、母さんがふと思い出したように尋ねた。


「あ、そう言えばもう家の間取りは戻らないのかしらぁ?」

「え? さぁ……システム?」

《可能です》

「出来るらしいよ」

「なら戻して貰えないかしら?」


 母さんが言うと、薄暗い洞窟からいつも通りのリビングに一瞬にして変わった。

 これには俺もクロも驚いて辺りを見回す。


「すげぇ……マジで一瞬じゃん。もしヤバくなりそうだったらこれやれば死ぬ確率遥かに減るなぁ……」

「それより早くお風呂入りたいんだけど。汗とか血とか色々で気持ち悪いし」


 絵梨が泥や血などが付着した服を臭って、うえぇ……と顔を歪める。


 しかしそれは決して絵梨だけでなく、戦闘に参加していない俺以外は、全員絵梨と同じようにとんでもない臭いを放っていた。

 普通なら鼻が曲がりそうな程の悪臭に気付くだろうが……俺自身、初めの頃は同じような目に遭っていたので、完全に臭いに慣れてしまっていた。


「取り敢えず……お風呂に入ろうかしらね」


 絵梨と同じく自身の臭いを嗅いだ母さんがそう言うと同時に、お風呂争奪戦が勃発したのは言うまでもない。

 










『———政府は国民に対し、不要不急な外出は控え、自衛隊や警察が来るまでは自宅で待機しているように、との声明を出しました』

「無理だろ。もう家がペシャンコの世帯がどれくらいあると思ってんだよ。政府の対応悪いなぁ……」

「ねぇ……そう言えばお兄ちゃんのレベルって幾つなの?」


 俺が政府の対応に文句を付けていると、絵梨が尋ねて来る。

 そんな絵梨に、俺はテレビに目を向けたまま口を開く。

 

「……聞きたい?」

「うん。だってプレイヤー? になってから分かったけど……お兄ちゃんの強さは異常だもん」


 あら、案外直ぐに気付くもんなのかね。

 俺的にはオークをデコピンでぶっ倒したこと以外で強さが露呈することはしてないはずなんだが……見られてたか。


「それで、レベルは?」

「本当は父さんと母さんもいる時に言いたかったんだけど……2人とも完全にくたばってるし……」


 俺は、テーブルに突っ伏して口から魂を出している父さん達目を向けてため息を吐く。


「ま、絵梨には特別に教えて差し上げよう」

「何でそんなに上からなのよ」

「そりゃあ……レベルは俺の方が上だし?」

「家族間での地位は下から2番目だけどね」

「悲しい現実ですな」


 そんな軽口を交わし合いながら、俺は絵梨の目の前にステータスを出現させる。


「ちょっ、いきなり目の前に出さな、い……で…………え?」


 突然のことでムッとした様子の絵梨だったが……。


—————————————

赤崎あかさき維斗ゆいと

種族【人間】

年齢【16】

Level【18,500】

基礎ステータス

体力【111,000】魔力【129,500】

攻撃【92,500】防御【92,500】

敏捷【92,500】

固定ステータス

知力【73】魅力【75】

スキル

【身体強化★10】【気配感知★7】

【自己治癒★6】【魔力眼★1】【武術★3】【集中☆7】【冷静☆5】

魂の契約

漆黒の角兎帝ブラックホーンラビットエンペラー?(レベル・17,900)】

—————————————


 俺のステータス画面を見て愕然とした様子で呟いた。



「い、18500……?」

「そそ。凄いだろ」

「———いや、凄いどころじゃないから!!」



 絵梨の絶叫が家の中でこだました。


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《スキルレベルについて》

◯☆1〜☆10……レベル1000までのプレイヤーの限界で通常のスキルレベル値。

 これ以上スキルレベルを上げるには、プレイヤーのレベルが1000以上にならなければ解放されない。

◯★1〜★10……レベル1000〜9999以上のプレイヤーが到達できる限界を超えた力。

 そのレベルに至ったスキルの効果は、☆10の時とは一線を画す。

 レベルが上がる毎にレベル条件が1000ずつ上昇するが、★10の場合のみ999上昇する。


《例》

◯【身体強化】

☆1〜☆10→攻撃・防御・敏捷を1.1倍〜2倍

★1〜★10→攻撃・防御・敏捷を3倍〜30倍

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