第3話 この家には家族は……
先に吾輩は三葉どのに抱き抱えられて向かった先はリビングのようだ。やはり全体的に部屋が新しい。
お、ご飯も……たくさんあるぞ。
あのおっさん体が大きいからなぁ。
「スケキヨ……って本当の名前は何か知らないけど。
おっさん……和樹というのか。前の飼い主の主人もカズキだったな。
最初紳士的だった主だったが家族には威圧的、しかし吾輩にはゴロゴロにゃお甘えてきた。
……にしてもスケキヨとはなんぞな。
さっきは映画が何たらかんたら、ぬあっ……三葉さんが思いっきり抱きしめてくれた。
「スケキヨ、名前は変だけど可愛いったら可愛い……スケキヨスケキヨ、何度も呼べば愛着湧くわね」
吾輩の名前はパンダだったけど今はスケキヨ。
パンダとつけられて最後の方はパンになっていたがな。
あ、ちなみにパンダ……前の家族とテレビで見てた時にテレビに映っていたパンダ、という動物を見させられてあれがパンダ、というものかとわかっておる。
吾輩とどこが似てるのやら。吾輩の方がスマートだ。
そしてスケキヨとは?
「スケキヨーっ」
あ、和樹どのがきた。吾輩を拾ってくれたお方。
なぬっ、上半身裸できたぞ……。三葉どのという美女の前でトランクス一丁でくるお主はっ! はしたないぞ。
「和樹さん、スケキヨかわいいね」
「おうおう。って三葉、猫飼ったことあるんか」
「ううん、うち実家中華料理屋だったじゃない。飼えないけど裏に野良猫よく来てたから相手にはしてた」
「俺は昔飼ってた。妹が欲しがってさー、なんだかんだで俺が1番面倒見てた」
「和樹さん、猫派だったんだ」
「犬派に見えた?」
「うん、猫に戯れてるイメージないもん」
この二人……なんだ……? 夫婦?
あーお互いお揃いの指輪をつけてる。なるほど。
「三葉に戯れてるけどぉ」
「こーらっ、スケキヨの前で……もっ」
こらこらっ、何いちゃついておる! 美女と野獣カップルとはこういうことか?
前の家族は結構ドライだったからな……夫婦関係。
ご主人様が威圧的で奥様や子供たちが顔色伺っておった。
って……和樹どのと三葉どのがチュッチュしとる!!!
「ダメよ、和樹さぁん」
「三葉……っ」
ふにゃああああああ!
「きゃっ」
「スケキヨ、嫉妬したか?!」
吾輩は大暴れした。
それよりもお腹が空いた、なんとかしてくれ。
にしてもこの家にはこの二人しかおらぬのか? おっさんもいい歳してるし三葉どのも美人だが正直若い、よりも熟した大人の女性だ。子供がおらぬぞ。
「よし、飯にするか。飯を食わねば戦はできぬ!」
「もぉっ。さあさあスケキヨもいるんだから……」
ふぎゃっ!!!
「すまんな、スケキヨの前で盛って」
「こーら! あ、スケキヨは……オスか」
「だから嫉妬したのかーはははっ!」
そう、吾輩はオスである。
三葉どの、そんなにまじまじと見ないでおくれ……。
吾輩の……を。
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