第3話 学校生活の始まり

 ―― あらすじ ――


 前世には居なかった姉と妹ができました。勇者トトキと仲良くなりました。


 ―――――――――


 姉が学校に入学してから1年が経ち、6歳となる俺とトトキに学校への入学式の案内状が届いた。


「やっ!案内状届いた!?とうとう僕たちも学校デビューだね!」

「おう。6歳の子供全てが対象なんだから全員に届くだろ…。」

「あはは…。まぁそうなんだけどね?お父さんたちが言うには中央から遠くなるほど血の気が多い雰囲気?らしいけど…。」

「俺たちが通うことになるのは第十三学校で中央から最も遠いの学校だな。だけど、姉さんの話では割とのんびりとした雰囲気らしいぞ。」

「そっか。昔と今とではまた違うのかな~?」


 学校は都市内に複数あり住んでいる地区に応じて通う学校が決められる。(都市の地上部中央にある王城から順に第一学校、第二学校となり第十三学校が最も遠い)

 とりあえず入学式まで期間があるものの必要なものが多いため、早めに準備を始めないといけないだろう。


「学校に行くのに色々と必要だからな。ちゃんと準備して忘れ物しないようにな。」

「わかってるってば~。」


 それから入学式までにお互いにチェックし合いながら準備を進めていき、ついに入学式当日を迎える。

 姉やトトキと共に泣きじゃくる妹を宥めつつ早めに家を出たのだが…すでに少し混み始めており少し不安になったが学校付近でもそこまで混雑している感じは無くすんなりと入り口までたどり着くことができた。


「お~学校の門でっかいな~校舎も大きい~。」

「今年の新入生は大体300人くらいいるみたいだな。」

「そっかぁ…友達どれくらいできるかなぁ。」

「さてな…。ここにいると邪魔になるし早く中に入ろうか。」


 そうして中に入った俺たちは笑いながら静かに見守っていた姉と途中で別れ入学式が行われる大ホールに向かった。

 まだ少し早いこともあり人もまばらな中を歩き指定の席に座り周囲を見渡しているとトトキが話しかけてきた。


「入学式が終わったら教室に行って…解散だっけ?」

「そんな感じだな。とはいえまだクラス分けは仮のもので明日から日をずらして実力試験が行われてその結果でクラスが決まるはずだ。」

「そっかぁ、じゃあ頑張らないと!リフ君と一緒のクラスがいいからね。」

「そんな意気込まなくてもお前なら大丈夫だろ…。俺と一緒に特訓してたんし学年どころか学校の中でも上の方なんじゃないか?」

「そうかなぁ?リフ君達くらいしか知らないからよくわかんないんだよね…。」


 正直な話、俺も前世基準で考えているだけで今はどうなのかはよく知らない。そこまで差があるとは考えにくいのだが…すでに前と違うことがいくつも起きているからな…。

 とはいっても勇者であるトトキと俺は同じクラスになるはずだ。以前から共に鍛錬をしてきて、共に行動しているときの感じからすれば全体的に高評価を得られるはずだからだ。得られるよな…?


「そういえば以前は師事した相手がいなかったんだよな…」


 前世ではただひたすらに勇者として覚醒したトトキと共に異常に増えていた魔物との戦いで各地を飛び回っていた。実戦=鍛錬のような状態だったな…。各地を飛び回っている時に集めた知識を基にトトキとお互いの動きを見て…。


「今はまだ落ち着いているみたいだし、師匠探しもアリかもしれないな…。」


 魔物の増加は兆候もなく、勇者の覚醒は前世と同じなのであれば学校卒業後のタイミングになる。覚醒後は能力が全体的に強化されてしまうため、細かい調整がしやすい今の内に基礎をもっとしっかりと固めておきたいな。


「リフ君、そろそろ入学式が始まるよ。」

「そうか。人込みを避けるために早めに出たのはいいがその分、待ち時間が長くなるから退屈だな…。」

「そうかな?入ってくる人とかを観察するのも面白いと思うけどな~。」


 ただ席に座っている退屈な時間が終わり入学式が始まる。といっても上の立場の人間からありがたいお言葉を頂戴したりするだけで退屈な時間なのは変わらない。


 関係ないことを考えながら式が終わまでひたすら耐えた。横に座っていたトトキは割と楽しそうにしていたが内容のほとんどない話のどこが面白いんだか…。

 式が終われば一時的に振り分けられたクラスで注意事項や明日からの予定を聞いたところで今日のところは解散だ。

 解散になった後もクラスに残って会話している子供がいるが…見たところ入学前からの友達グループのようで新しい友達を作ろうという動きがないっぽいな。試験でクラスが変わるからか…?案外ドライなんだな…この年頃のお子様たちは…今は俺も同じお子様だったわ…。


「リフ君はこの後どうする?」

「特にしなきゃいけないこともないし実力試験に向けて軽く鍛錬かな。」

「リフ君って鍛錬好きだよね…。僕も一緒でも大丈夫?」

「大丈夫。なんだかんだ言って一緒にやるんだからトトキも鍛錬好きって言えるんじゃないか?」

「僕はリフ君がやるからやってる感じだから…違う…はず?」


 遊びよりも鍛錬な生活になっていることに自覚がないわけではない…。勉強して体を鍛えて技術を磨いて…落ち着いてやることができなかった経験からどうしても今の落ち着いた環境で色々とやれることが嬉しくてそればかりになってしまうのだ。楽しいから自分なりの遊びということにしておこう。巻き込んでいるトトキには悪いと思うがこればかりはどうしようもないのだ。

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