第2話 幼少期

 ―― あらすじ ――


 世界を救う旅の末に世界を破壊しちゃったので世界を救う旅をやり直すことになりました。


 ―――――――――


 時間が巻き戻った世界へと行く為の準備が整い転生したと思ったら……。



 女神様達がいる真っ白い部屋でした。



 良い雰囲気で別れたんだけどなぁ…。


「あれぇ?もう戻ってきたの…?」

「転生時間は13秒…かな。最速記録だよ。」

「俺以外にもいたんですか?」

「いないよ~?でも、今後現れたとしてもこれより短いのはないだろうネ。」

「そうですか…。不名誉な記録だなぁ。…それで何があったんですか?」

「ちょっと調べてみるね~?……ふむ…ふむふむ…えーと、生まれたばかりの状態に転生して…おねむだったから速攻で送り返された感じだね」

「おねむで魂が送り返されるんですか…」

「ん~……繋がりが切れたわけではないし…しばらくは体の本能に任せといていいから…しばらくはこっちでの待ち時間だね☆」


 いきなり何もできない時間が続くのか…ちょうどいい機会だ。女神達から色々と聞きつつやれることを探るしかないようだ…。



 ~数か月後~



 肉体と魂の繋がりを維持するために定期的に元の世界に戻りながらも大半の時間を真っ白い空間で不定期に現れる女神様達と過ごした。こちら側で身体を鍛えても意味は無いため技術や知識の強化になるだろう。一応女神からも色々と教えてもらえたのだが過去に女神達が世界の発展しやすいよう積極的に知識を広めていた時期があるらしく、禁足事項的な教えることのできない知識もある為に新しく得られた知識はあまりなかった。


 短時間だが元の世界に戻っている時間があったのだが…寝るか食事をだった為、母に吸い付いてた記憶しかない。


(今は赤ちゃんだけど中身は一度成人してるわけで…割ときついぞ…これ…)


 ハイハイができるようになり活動できるようになったとはいえ常に親の目の届く範囲に置かれていた為あまり積極的な行動はできなかった。一度部屋中を移動して回って鍛えようともしてみたがすぐにダウンした上、体中が痛くなりしばらく動けなくなってしまったので断念。体を鍛えることを諦め魔力の鍛錬を集中的にすることに。


 それからしばらくしてつかまり立ちができるようになり短い距離限定だが歩くこともできるようになった。この頃には加減等の具合がわかってきたので目下、より長い距離を歩けるようになるため特訓中だ。


 ある日いつものように歩く練習をしていると部屋のドアからこちらを窺っている女の子がいる事に気付いた。その様子を見ていた母がその女の子を呼び寄せたのだが…その時にその子のことをお姉ちゃんと呼んでいたのだ。…なんと俺には姉がいたようなのだ。時が巻き戻る前には存在しなかったのだが…どういうことなのか時の女神に聞いてみたところ「時間を無理やり巻き戻した影響で世界線が変わっちゃったのかもしれない」とのこと。どうにも同じ神としての力を持った邪神(とその影響を受けた俺)や神の力によって変化をさせられた世界の時間を無理やり巻き戻した等の結果…様々なところに影響し変化が起きているらしいのだ。事前に言っておいてほしかったが…その時は巻き戻す作業で一杯一杯だったらしく…その所為で作業そのものも大雑把になり余分に時間を巻き戻していたりもした…らしい…。


 姉は以前よりちょこちょこ俺に会いに来ていたらしいものの偶然か俺が寝ている時ばかりだった為、今まで気付かなかったようだ。そして最初の内は俺と接するのに恐る恐るだったのだが、徐々に慣れてきたのか最近では会う度に抱きしめて頭を撫でてくるようになった。ちょっとスキンシップが過剰じゃないだろうか?それとも一般的な姉弟はこれくらいが普通なのか?分からない。


 そんな色々がありつつも平穏な時が過ぎていき…遂に運命の時が来る。顔を合わせても挨拶をする程度だった隣の家の勇者家と同い年の子供ができたという理由で家族ぐるみの交流が始まるのだ。そしてこの日に俺と勇者は初めて顔を合わせることになる。…のだが、まだお互いに言葉をほとんど話せないこともあり俺と勇者は会話することなく顔合わせを終えた。



 ~二年後~



 あの日以来、勇者と俺はそれなりの頻度で顔を合わせており、よく一緒に遊んでいる。


 それから俺に妹ができた。前世ではいなかった…ウン。非常に可愛いと思う。一度兄弟のいない人生を経験している分、殊更に可愛く感じている可能性もあるが…そんなことはどうでもいいな。生まれたばかりのころはあまり近寄らせてもらえなかったものの許可が下りた今ではすっかり姉と共に妹の寝ている部屋に入り浸っている。ただ以前からよく抱きしめてきた姉のべったり具合が悪化した。魔力の鍛練的には密着しているのは俺が外部から干渉しやすいため都合がいいものの、別の意味では心配になってくる。年を経ることで解決してくれればいいのだが…。


 来年6歳になる姉が学校に通い始めることになっている。(都市の制度で6歳から7年ほど学校に通うことになるのだ。それから学校を卒業した後も1年間の社会体験活動と3年制の学園への通学も都市に暮らす者として義務付けられている。学園卒業後に通えるようになる学院も存在するのだが今は関係ないので割愛する。)そのため、一緒に居られる時間が制限されるようになる来年までに姉がどこまで鍛えられるか…。一応今のペースのまま鍛えていけば一般的な学校生と比べると5年生辺りと同じくらいにはなれるはずだが…将来起こることを考えると少しでも力を付けてもらいたい気もする。まぁ姉を最前線へと赴かせる気はさらさらないのだが…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る