第8話 犬と少年

イガグリババアはあの一件以来、作者の家に住み着いている

毎日ババアをもともといた時代に返す方法を研究している


イガグリがタイムマシンになるなんてあり得なかったんだ

俺はどうかしていた

実は昨夜から飼い犬のコマの姿が見えない

コマは怖がりで単独では外に行けないと思っていたのだが

この間ババアが玄関のドアを開けたら脱兎の如く

外へ飛び出していってしまった

あのときは捕まえたが

今回こそ本格的にどっかへいってしまった


「ババア!!コマをまた逃したのか?」

「知らないよあんな馬鹿犬」


コマは宇宙でいちばん可愛いので誘拐されたかもしれない

作者は頭を抱えた



「あたしはババアって名前じゃないんだよ

かよちゃんって呼んでおくれ」


ふざけやがって


とりあえずコマがいなくなったことを

犬の保険会社に伝えて探してもらうことにした

コマは2歳のチワワだが人間の話している言葉を

完璧に理解しているとしか思えない

金がないと言ったら

サラ金のチラシをくわえてきたり

パチンコ屋のチラシをくわえてきたりした


あるいは馬鹿犬なのかもしれない


コマはオスだが何でかオス犬にばかり興味を示し

犬にもホモがいるものかと変な関心をしてしまった


「おい、ちょっときてみなよ!!」

ババアが呼んでいる

何事かと行ってみるとババアの足元にパグ犬がいた

この犬は、ババアが飼っていた犬だ

そして、ババアの横には、少年


この少年のことはよく知っている

小島誠司16歳だ

ババアの息子の五文の友人である


「小島、お前どうやってここにきたんだ」

作者が問いかけると小島は

「知らねえ」としか答えず

ババアは懐かしい懐かしいと言いながら

小島の肩をさすっている


犬は小島の飼い犬で

銀次郎というらしい

作者は犬など知らないがまあ良いか


小島は昼寝から目覚めてみると

我が家にいたという


「この子はね

18で死んじまったんだよ・・・」


知らないぞ

作者はそんな設定にしていない


暴走族の引退式で事故に遭い死んでしまったらしい


「あん?わけわかんねーこと言ってんじゃねぇコラ」


「わけわかんなくないよ、本当にあったことなんだ」


小島の葬式には暴走族の仲間がやってきて

出棺の時には小島の大好きな矢沢永吉の音楽を

ラジカセで流していたという


「ぼけちまってんな、この婆さん」


ババアが小島のリーゼント頭を引っ叩いた




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