第6話 庭にはインド人
朝方のことであるがしかし
朝方とは何時からのことを指すのだろうか
とりあえず時刻は4時28分です
小次郎はパンの仕込みを始め、娘たちの朝食の準備を始めた
かよ子がいなくなった当時は当番制だったのだが
娘たちは揃いも揃って料理が下手ときている
先週なんかは2回も火事になりかけた
ため息が出ちゃうなあ
その時、庭から何か声がした
「こっじろーさーん!!」
小次郎は無視した
声の主は隣のインド料理店の店主だ
名前はアラダという
「こじろさんよ、なんでシカトする?」
アラダは勝手に庭に入ってきたばかりか
庭に生えているサラダ菜を勝手にもいで食っている
「アラダ、昨日こじろさんに猫あげよう思って猫持ってきた
こじろさんいなかったから猫持ってきたよ」
アラダは、着ているシャツの中から猫を出して小次郎に渡した
「なんだ、俺は猫ほしいなんて言ってないぞ」
「あら、こじろさん猫欲しい行ってたヨォ!忘れたんか?」
猫は赤い首輪をしている
「しかもこの猫、人んちの猫じゃないのか?」
「知らない。アラダその辺にいた猫拾ったよ、セキニン持って
可愛がってあげてよこじろさん」
「うちは飼えないぞ、ひかるが猫アレルギーなんだ」
「遠慮なしよ、はっはっはっ」
アラダは笑いながら帰っていってしまった
猫を置いたまま
どうしよう・・・
猫は大人しく、小次郎に抱かれて眠り出した
かわいいもんだなあ
しかしこれは人様の猫だ
きっと飼い主が探している
「僕は田辺」
猫が眠りながらしゃべった
いや、猫がしゃべったというよりは
猫から声がした
おじさん、僕の名前は田辺だよ
おじさんに出会うためにやってきたんだ
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