第4話 これはラノベじゃない
俺は、薄木の炎に触れた。
熱い。でも、命にかかわるような熱さではない。おそらく、ほかのみんなもそうだろう。
「ほんと、この世界わけわからんわ…」
誰かの炎が消えた。それに続くかのようにどんどんと炎が消えた。
「いたたたた…いったい何だ?」
「まだ三時だっていうのになんなんだ?」
次から次にみんな目覚めていき、最終的にはみんな目覚めた。
「というか、私たち血だらけじゃない?」
「俺たちどころか、教室も血まみれだぞ」
全員目が覚めてきたのか、現状起こってることに気づき、驚いている。
「みんな、落ち着いて聞いてくれ」
俺がそう言った時
「わー」
「ぎゃー」
「おたすけー」
みんなすごい棒読みで騒ぎ出した。
「こんな時でも元気だな…」
「へーるぷみー」
「だれかー」
その後、俺はなんとかふざけてるのを止めて、何が起こったのかを教えた。
「と、いうわけなんだが、なんか能力使えるな~って思ってる人いない?」
俺はみんなに問いかけた。俺の時は脳内に能力を使っている自分が写ったし、もしかしたらと思った。
「あ、そういえば脳内になんか能力使ってる自分が流れたような」
誰かがそう言うと「僕も」「私も」という声が上がってきた。
「やっぱりか…で、ちょっと使えそうって人いる?」
「とりあえず、出席番号順でやる?」
「そうだな。じゃあ、最初は霊夜か?」
「うん俺だね。俺の能力は…」
その時だった。
バーン!
いきなり教室の扉が力ずよく開けられた。
「大丈夫ですか⁉」
そう言って一人の、俺たちと年がそう変わらないであろう男が出てきた。
「えっと…どちら様でしょうか?」
俺は、少し困惑しつつも聞いた。
「あ、皆さん無事でしたか。私、宗近王国のブラッド兵団早川隊隊長の早川光聖といいます」
そういえば、この国の名前が宗近王国だって、城で聞いたな。
「実は、先ほどここから大きな物音がすると通報が入りまして、元々国王から皆様のことは聞いてましたのでなにかとんでもないことが起きてるのではないかと思い、急行いたしました。なにか、ありましたでしょうか?」
「実は、こんなことが…」
今度は、牧原が事情を説明した。学級委員で慣れているからなのか、さっきの俺よりも短く、わかりやすい説明だった。
「そうですか…」
早川さんは少し考えた後、こんなことを言った。
「それでしたら、ブラッドについて説明してもよさそうですね」
「ブラッド?」
面白いことに二十人全員の声が被った。
「ブラッド、まぁわかりやすく言えば超能力ですね。暁さんの
なるほど。要は特定の人が大量出血したときに得られる能力ってことか
「そしてです。皆さんがブラッドになったから一つお願いがあるのですが…」
早川さんがこんなことを言った。
「ブラッド兵団に入っていただきたいのです」
「ん?」
「へ?」
「は?」
…
『は⁉』
いきなりとんでもないことを言われて全員驚いた。というのも…
城から教室に帰る途中
「ねぇ、みんな知ってる?」
有働さくらが急に口を開いた。彼女は世間一般的にアニオタと呼ばれる部類の人で、アニメに詳しい。
「うん知ってる」
「まだ何も言ってないけど…こういういきなり変な場所にきて、変な能力手に入れたときってお決まりがあるんだよ」
「ほう、それは?」
「その能力を使って悪い奴を倒すんだよ!」
ものすごい元気な声で言っている。オタクと言われて真っ先に出てくるような暗い感じは一切ない。これが普通なのか?俺のオタクに対する偏見がひどいのか?どうなんだ?
「でも最近は能力手に入れてもスローライフ始めたりで戦わないのも多いぞ」
このクラスの暗い方のオタク、薄木がぼそっと言った。お前、アニメについても詳しいのか…
「でも、やっぱり能力得たら戦いたいじゃん!」
「それは僕も思う」
「あ~、私も能力手に入れて悪い奴らと戦いたいな~」
「僕も~」
なんなんだこいつら?でもまぁ、あこがれないと言ったら噓になるな。
「俺も能力ほしいよ」
後ろから霊夜がいきなり言った。
「わ!びっくりした…」
「わりぃwでも、やっぱり春人もあこがれねぇか?」
「ま、うん。あこがれるちゃああこがれる…」
「だよな。多分、みんなそうだ」
「だな」
…的なことがあった。
なのでみんな能力で悪い奴しばきたいな~なんて思っていたのである。
そんな中ブラッドとかいう能力手に入れて軍に入れる!なんて願ってもない奇跡なのだ。
「まさか、こんなことになるなんて…」
「ま、ラノベはこうじゃなきゃ!」
「これはラノベじゃない現実だアニメ見過ぎで現実と創作判断できなくなってるぞ」
有働さん、現実見よ…
「で、みなさんいいですか?」
早川さんが改めて聞いた。
みんなの返事は決まっている。
『はい。お願いします!』
1-5異世界転移学級日誌 あつかち @atukati0808
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