第3話 Hallowe'en over ride "alice in wonderland"

「さてさて、自前の武器は…と…。」

 オレは装備欄ステータスを確認する。

 残念ながら武器らしい武器は手持ちになく、強いて言えば、戦闘体術Martial Arts全般が目立つ程度だ。

「武器は現地調達なのね…。」


 そうこうしているうちに、ゲーム開始を告げるブザーが鳴る。

 ブザーが鳴ると同時に、古びた洋館に鉛の雨が降り注ぐ。

 オレは慌てて柱の陰に背を預ける。

 ステンドグラスは数秒でガラス片と化し、壁も薄い部分には風穴が空いてくる。


 当たり前の話である…。

 満月のようなカボチャ月が煌々と照らす樹木もまばらな草原。

 その中に、これまた綺羅びやかに輝く古びた洋館など、格好の的でしか無い。


 シャンデリアも過半数が撃ち抜かれ、屋内もだいぶん暗くなってきた。

 そんな中、玄関を開き入ってきたのは、ベルが二つ乗った座布団大の目覚まし時計を抱え、オレと同じ様な服装をした…白ウサギ。


「懐中時計じゃなく…目覚まし時計?

 それも、あんなバカでっかい時計?」

 思わず、オレは呟いてしまった。


 白ウサギは玄関先でキョロキョロしているが、相変わらず鉛の雨は降り注いでいる。


「こっちだぁ!」

 オレの声に気づき、慌ててオレのところに走り寄る白ウサギ。


「何なんですか、ここ?

 危ないんですけど!」

 白ウサギが愚痴ってくる。


「いやいや…。」

 オレが言いかけると、最後のシャンデリアが撃ち抜かれ、床に四散した。

 恐らく、斥候が突入してくることはミエミエだ。


「取り敢えず逃げるぞ!」

「はいぃぃ~~!」

 白ウサギを抱えあげ、彼女の入ってきた玄関から外に飛び出した。


 玄関を抜けると、石造りの門柱が立っている。

 玄関の反対側に移動し、直ぐに門柱のたもとに屈み込み、周りを確認する。

「…そう言えば、有ったわよねぇ。」

 エプロンのポケットに手を入れると、箱型双眼鏡オペラグラスが出てくる。


 さて、オペラグラスを覗いてみれば…。

 あ~あ、居るわ居るわ「ふしぎの国」の住人共が…銃器を抱えてこちらに迫っている。


戦闘開始Combat Open!」

 オレの口角は上がっているだろう、白ウサギは不思議そうな顔でこちらを眺めている。

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