ギャルゲ主人公、生徒会について聞く。
翌週月曜の放課後。先輩2人とお菓子パーティの日だ。先週と同じ校舎裏に向かう。お菓子は土日のうちに用意しておいた。勿論、一般受けする味を選んだ。
「遅いですわよ!」
先に着いていたらしい椿に怒られる。なんてせっかちなんだと思わなくもないが、まぁそれだけ楽しみにしていたんだろう。
「すみません。ホームルームが長引いて…」
「言い訳は結構ですわ!さぁ、早く例の物を!」
いや言い方よ。
「はい、どうぞ」
袋から取り出したのはポテチのうすしお味と抹茶味のチョコ。前回の反省(俺は悪くないが)を踏まえて今回は少なめだ。椿は目を輝かせているが、紫乃は少し不満そうだ。
「普通の味もありますのね!てっきり庶民は変わった味を好むものだと思ってましたわ!」
「ちょっと普通過ぎないかしら。折角食べるのだったら、もっと美味しい味にした方が良いと思うのだけれど」
美味しい味とは。確かに変わった風味でも実際食べてみると悪くはない事もある。だが紫乃のチョイスは美味しいと言うより変わってると言った方が良い。
「それはまた今度にしましょうよ。まずは普通の味から始めませんか?」
「まぁ…それもそうね」
「早く食べますわよ!」
椿はふんっ!と力を入れるが、開け方がそもそも違う。何で袋を横に引き千切ろうとするんだ。
「琉依さん!開けて下さっても良いんですのよ!」
開け方分からないなら分からないって言えば良いのに。椿まで瑞季みたいな事言わないで欲しい。
「分かりましたわ~」
「はっ倒しますわよ!」
「次からは場所を変えませんこと?」
抹茶味のチョコを頬張りながら椿が言う。
「あら、どうして?」と紫乃が聞き返す。
「こういった秘密の集まりも良いですけれど…いつまでもこんな所で食べていられませんわ!」
「はぁ…そうですか」
椿の言い分も分からなくは無い。校舎裏は放課後は日陰となっており、若干じめじめしている。その上ベンチなどもないのでコンクリートに直接座る事になる。生粋のお嬢様である椿には耐え難いものもあるだろう。
「でも何処にするんですか?」
「分かりませんわ!」
そんな堂々と。
「だったら、生徒会室の横の資料室はどう?」
話を聞いていた紫乃が口を開く。
そんな部屋あるのか。というかそもそも生徒会室って何処にあるんだ?入学したばっかりだからまだ行ったことのない教室も多い。
「彼処なら殆ど使われていないし、施錠もされてないわよ」
「あら良いですわね!次からはそこにしますわよ!」
「でも生徒会室の横だと出入りする所人に見られそうですけど」
普段使わないなら頻繁に出入りすると怪しまれるのでは?
「大丈夫よ。生徒会室はあまり人が通らない所にあるし、生徒会がない日は殆ど誰も通らないわ」
それなら大丈夫か。
「そういえば生徒会っていつあるんですか?」
「毎週水曜と金曜。行事がある時はもっと頻繁だけどね」
「紫乃は今副会長ですのよ!」
そうなのか。2年生になったばかりなのによくやるわ。
というか生徒会ってどんな役職があるんだ?仕事内容とかもあんまり知らない。ハーレムルートで生徒会入りはしてたけど、そういった事にはあまり触れられて無かった。
「生徒会ってどんな事してるんですか?」
隣に座っている紫乃に尋ねる。
「普段は意見箱に集められた生徒からの意見に目を通して検討したり、学級委員の集会をしたりしてるわ。たまに行事や全校集会の進行もしてるわね」
おお、色々やってるんだな。もっとのんびりしたものかと思ってたけど、意外と忙しいようだ。
「あとは、生徒会主催のイベントとかね」
「イベント?」
「と言っても、大したものじゃないわよ。挨拶運動だったり、生徒から簡単な作品を募集して表彰したり」
「今の生徒会長になってからは凄いですわよ!」
と椿が勢いよく口を挟む。
「教師に対する意見を募って発表したり、学校の前に捨てられていた猫の名前を募集したりしてましたわ!」
は!?猫!?
「捨てられてたって…マジですかそれ!?」
「マジですわよ!許せませんわよね!可愛い猫ちゃんにそんな事するだなんて!」
「そうですわね!」
俺もお嬢様口調で椿に同調する。莉愛の影響で俺も猫派だったりする。猫派どうこう以前にペットを平気で捨てるのは許せないが。
「その猫は今は会長の家で飼われてるわ。よく写真も見せて貰ってるし、大切にされているようよ」
そうなのか。それは良かった。
「ちなみに、名前は何になったんですか?」
「…ほわほわもけけ、よ」
「………」
「とにかく、今の生徒会長はいろんなイベントを開催してるんですわ!」
と椿が話を元に戻そうとする。そうだ、生徒会の話してたんだった。
「生徒達からの人気も高いんですのよ!」
「生徒会はそのせいで大忙しよ」
紫乃は不満気に愚痴をこぼす。
「生徒の意見を集計したり、選んだり、表彰したり…」
「確かにイベントの時は忙しそうにしてますわね」
「こっちの都合も考えないで…勝手なんだから」
しかしその顔は、穏やかに微笑んでいた。
夜。俺はまた莉愛と電話していた。毎晩という訳では無いが、割と頻繁にしている。向こうが俺の様子を知りたがっているのもあるが、俺が莉愛の声を聞きたいのもある。
「ふ~ん。またお菓子パーティか。しかも次は資料室でするんだ〜。美少女2人と人気のない部屋でね~。」
不味い。また怒らせてしまった。
「や、ほんとそういうつもりじゃ…」
「先輩2人と秘密のデートはさぞかし楽しいでしょうね~」
「デートじゃないって。莉愛以外とはそういうの御免だし」
これは本心だ。莉愛以外とは付き合うつもりなんてない。
「…琉依はそうじゃなくても、相手は違うかもしれないじゃん」
「んん…まぁ無いとは思うけど気を付けるわ」
「そーして!浮気したらただじゃおかないんだからね!」
「分かってるよ。俺が浮気なんてする訳無いじゃん」
「浮気する男は皆そう言うんだよ」
ぐうの音も出ません。
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