第15話 交差する暗黒
「ご馳走様でした。」と那自が言うとアリスも「ご馳走さまでした」と言った。
エレインは、その様子を笑顔で見ると、食卓から立ち上がった。
そして那自とアリスが歩き始めると一人残されたエレインの前にルシミスが現れた。。
「何か御用でしょうか?」ルシミスは、そう言うと深々と頭を下げた。エレインはその姿を見て少し間を置いてから言った。
「あの子……那自よ…。 魔法も使えなさそうなのに…魔力を隠しているよう…。そこが気になるけど恐らく素は尋常じゃない魔力量よ…。」
「はい……。それは私も感じました……。」
するとエレインは悪魔のような笑みを浮かべて、舌なめずりをした。
「熟れる時が待ち遠しいわね」「はい……」ルシミスはそう答えるとエレインの目を見つめた。そして言葉を続けた。
「あの……エレイン様…今回は…やめませんか?」
「え?何……聞こえないわ」エレインはルシミスに顔を向けた。そしてもう一度口を開いた。
「え?なんていったの?」
「だから…ッ!?」
ルシミスは、言葉を詰まらせた。エレインがルシミスの首を片手で掴んでいたからだ。
そしてエレインはルシミスの腹部を殴った。
「グハッ!ゲホゲホッ!」
ルシミスは、吐血しながら倒れ込み、床に血を吐き捨てた。
「誰が……発言して良いと言ったの?あぁ?」
エレインはそう言うと、再びルシミスの腹を蹴った。
「ゲホ……ゴホッ!も、申し訳ありません……。」
ルシミスはエレインの足下に這いつくばり、そう言った。
「……ねぇこのナイフ……ちゃんと純銀のものを取り寄せたのよねぇ」「は、はい……もちろんです……ッ」ルシミスがそう答えるとエレインはニヤリと笑った。そして口を開いた。
「いいナイフよねぇ……」
エレインはそう言うとルシミスの髪を鷲掴みにして無理矢理、顔をあげさせた。そしてニッコリと笑うとルシミスの太腿にナイフを刺した。
「あっ…熱い熱い熱い!!!?」
ルシミスはそう叫ぶと床を転げ回った。しかしエレインはそんな様子のルシミスの髪を鷲掴みにして、無理やり顔を上げさせた。そして満面の笑みを浮かべた。
「貴方の種族…もう絶滅しそうよね……。可哀想に貴方まで死んだら、その家族はどんな反応をするかしら……?」
ルシミスは涙をこぼしながら口を開いた。
「あっ……いや……やめてください!お願いします!」
するとエレインは再び満面の笑みを浮かべた。そしてナイフをルシミスに突きつけた。
「今度私に逆らおうとすれば……貴方の家族を殺すわ」
ルシミスの目からは、涙が溢れ出した。そして口を開いた。
「はい……わかりました……。」
エレインはその返答を聞くと、ナイフでルシミスの太腿に刺したナイフを抉るようにして抜いて、ルシミスの髪を放した。
「フフフ…いつぶりかしら…あの二人…オーブンに入れたらきっと美味しいわ。」
エレインは、そう呟くとルシミスを放置して自室に戻って行った。
その様子を今度はキッチンに、紛れ込む二匹の蝿が見つめていた。
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