第14話 躍動蟲 その2

那自は、エレインのその言葉を聞いて、食事を再開した。

「ここは地上…世界の一番高い場所に位置する場所よ。 つまり…」

「ここより下…地下が存在するってことですか?」

那自は、エレインの答えを遮ってそう言った。


アリスは、補足をいれるように丁寧に説明を始めた。

「この世界はここ…地上を頂点として、その下には985段の階層があるの。」


「985……じゃあこの地上は人が世界の1000分の1しか占めてないって事か……。」那自は、そういうと食事の手を止めた。

「そうよ……」

アリスはそう答えた。そして続けた。

「でも……なんでそんなに世界に高低があるのか…それは私達が住んでいる世界は大きな鉄製の揺り籠の中に植えられた苗木の中にあるの…だからよ。だから、地上で生活するものも入れば、根の中で生活するものもいる。でもその根っこの中での生活もさらに階層分けされていてね……」

「へぇ……なるほど」那自は、そう言って食事を再開させた。そして言った。

「地上…つまりオルレルケアは一部の特権階級…それも人間しか住めない…。 貴方は……どう見ても人間…だから…。」


「ボクの両親もそこにいると…。(人間以外の種族もちゃんと存在しているのか…。)」那自が呟くとアリスは頷いた。そして言葉を続けた。

「えぇ……賢いわね…そう考えて間違いないと思うわ」

「なるほどね……」那自は、そう言うと食事の手を止めた。そしてエレインは言葉を紡いだ。

「どうかしら?」

エレインは那自の目をジッと見つめた後答えた。

「……私ろ一人だけ弟子をとっているの…あまりにもセンスが良かったから弟子にしたんだけど…まだ12歳なのに、凄まじい魔力を持ってる上に、飲み込みが早くセンスがいい優秀な子……オルレルケアに住む人間よ…」

「なるほど……その人に頼めば…ボクの両親をさがしてくれると?」

「えぇ……明日にでも呼び出せるわ…」


「そう……ですか……でも12歳なんでしょう…?ボクより年上だけども、まだ子供…。 国の中で一人を見つけられるような…大規模な人探し出来るような人なんですか? 」

那自が不安気にエレインに問いかけると、エレインはにこやかな笑顔で応えた。

「えぇ……できるわよ……彼は賞金稼ぎ何だけど…勇者様と組んでて…一番名の売れた最強の冒険者パーティーとして、国の皆から慕われているわ。 それに彼…頭も才能もいいから、魔法学校でも主席で卒業したの。」

エレインは那自の目を見つめたまま続けた。

「なるほど……それほどの人望ある人物なら、或るいは…。」


那自がそう返すと、エレインは言葉を続けた。

「えぇ……彼なら直ぐにでも見つけてくれると思うわ」

「じゃあ……お願いします……」と那自が言うとエレインが口を開いた。「でも待って…!流石に彼でも時間はかかるは…それに道中は危ないから…ある程度、準備が整うまでは決してオルレルケアに行こうとしちゃダメよ…暫くの間は…この家にいなさい…。その間に私が、貴方が外に出ても死なないように色々と教えて上げるから…貴方もよ…アリス…彼と一緒に暫くはここにいなさい……」

「はい……わかりました。」と那自が答えた。


アリスは「うん……わかった……」と言った。

すると、再びエレインが口を開いた。

「明日は早いわよ!さっさと寝なさい!」

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