第4話 ゲルニカその2

ブラック・ドッグが那自のズボンの裾を噛んで引っ張った。

「見つかったか!!」

那自はブラック・ドッグに導かれるままに悲鳴のした方へ駆けていった。

「うがあああ…誰か…あ…ヒグ」


 そこには、パン屑を辿った先には、土で汚れた白いワンピースを着た金髪の幼い少女が機械の塊ような黒い鎧を身にまとう全長7メートルあるほどの1つ目の巨人に握りつぶされかけていた。


 少女は力なく

、抵抗することも出来ずにその巨大な手に潰されていくのを涙を流して必死に堪えていた。


 「グルル…ワン!! ワン!!ギャイン!!」


「ブラック・ドッグ…うるさいよ」


 那自はそう呟くと、巨大な機械の巨人をニヤリと笑みを浮かべる。


「サイクロプス…。魔物か…俺が死んでいる間に日本から出ている

とはな……」


 サイクロプスは少女を握りつぶす手を緩めて、那自の方をギロリと睨んだ。


 それと同時に少女も那自の方に気付いたようでいつもな目で那自の方を見つめて口を開いた。

「お願い……助けて……」


(!!! 日本語?! この女さっきから…。)


那自は内面的には、驚愕しながらも、口ではまた別の事を口にした。


「その人…何時間そうして握ってたんだよ…。全く魔物というのは相変わらず獲物というか人間を殺さずに甚振るのが趣味のようだな…」


「グルル……ワン!!」


ブラック・ドッグはサイクロプスを威嚇するように再び吠えた。


「興奮しなくていいよ…ブラック・ドッグ周囲の警戒を頼む…コイツは俺が…。 !!」


 那自がそういいかけた瞬間。サイクロプスは、手に持っていた少女脚を握って振り回し、そのまま投石紐の要領で那自に向かって投げつけた。


「おっと!」


那自は投げつけられた少女を後に飛びながら、キャッチした。


「魔物の存在…希望が見えてきた…さあ…やろうか…。」


 那自の不敵かつ不気味な笑みは、サイクロプスの警戒心、そしてなにより闘争本能を刺激し、今まで一言も声を発さなかったサイクロプスは「グオオオオオ!!」っと大地を震わすほどの雄叫びを上げて、鎧と同化していた、大槍を構えて那自を見つめた。

「グルル……!!」

那自にあらかじめ介入を静止されているブラック・ドッグは立ち会い人かのごとく両者を見つめ、双方には、獣と人の殺し合いというよりかは、武芸の達人同士のような緊張が張り詰めた。


 その緊張のなか臨戦態勢を整えようと那自がその少女を地面に下ろそうとすると、少女は那自の服にしがみついた。



「た……助けて……」少女は泣きながら言った。そして那自の服を噛み、離そうとしなかった。


 那自はため息を付きバツが悪そうにサイクロプスの方を見ると眉を潜めて、呟いた。

「悪い」

ソレを聞いたサイクロプスも黙ったままだが顔を傾けて少女とのやり取りを許した。


「何だ…?出来れば手を離してもらえるとありがたいんだけど…。」


那自は少女にそういうと少女は、那自の服を噛みながら答えた。

「や……やだ……」少女は泣きながら言った。

「わかったよ…私も君に後で聞きたいことがあるから…しっかり掴まってて」

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