お墓づくりとその後

―――――

テミス

「こんな感じでできるでしょうか?」


                四季統

                「行ける」

           「できたら報告する」

テミス

「わかりました」

―――――


「堅苦しいな。はあ、今日はお墓づくりに専念して配信は休みますか」


俺の目の前にはまさに和洋折衷というように一つの大きな岩を囲うように世界中の様々な木が植えられ地面も7色で構成された地面だ。派手過ぎない暖色系で構成しているためダサいとは感じないものだ。我ながらちゃんとしている。珍しい。


「これを削るのか。気が引けるな。まあ普通にやればだが」


神の力を使いおおまかに形を整える。墓はなぜか双頭の形をあの人は望んでいた。憶測だけで物を語るつもりはないが一体どうやって引退するつもりなのだろうか。

ここからは手作業。この神の力ですごいいい感じにできるこの名前のよくわからないトンカチを使う彫刻刀みたいな奴で削っていく。

とはいっても結構平らな部分が多いから俺がやるのは少し削り足りていないところを削るくらいだがな。

そして次はこの石をピカピカにしていく。原理とか方法がよくわからないので神の力だより。そして周りを軽く装飾。

墓づくりは終わった。


俺は線香を2置く。彼女がどこに行くのかは知らない。彼女がどうなるのかは知らない。でも多分だが二度と会うことはない。


すぐに帰ろう、テレポ。


          ――――⚖―――⚖―――⚖――――


その夜。墓の前に一人の女性が一輪の花を持ち線香をささげていた。


「お母さん。ごめんなさい。私はあなたを守れなかった。なぜだかとても反論をすると私も死ぬような、そんな感じがしたの」


私は反論が無くて反論しなかったわけではない。「反論をしてはいけない」と本能が何かに怯えるようにそう主張してきたのだ。私はそれにあらがえなかった。そしてお母さんは処刑された。

その私の本能が恐れたものは分からない。いや、分からないふりをしている。


「これは私の神になって最初で最後のお願い。どうか私の後任はの親しい人でありますように」


私の手元に光り輝く一本の直剣が現れる。この剣は私の神としての能力。触れた相手を神であれど殺すことができる能力。でも殺すにはこの剣が5秒以上触れている必要性があるから処刑用の剣。


それを私は自分のおなかに刺す。1...2...3...4...5。


          ――――⚖―――⚖―――⚖――――


「やっぱりか」


俺はスマホから墓の様子を見ていた。やっぱりテミスは自害を選んだ。まさか5秒ふれるだけで神でも殺せる能力のある剣が出せるなんて思いもいなかった。


「最後に言ってた後任が彼の親しい人って多分俺の事だよな?なんかいやな気がする」


頼むから家族とかはやめてくれ。絶対面倒くさいことになる。身内でまだこいつなら神なってもいいわってやつ長女と父だけだから。他はくっっっっっそだるいことになるの確定してるもん。


「それにしても木の半分を桜にしといてよかった、夜桜が奇麗だ。彼女の笑みと相まって」

「できました。どうぞカフェオレ風フラッペです」

「ありがとう」


俺はフラッペを受け取り自室に。慣れた手つきで配信を開始する。


「よっ。つうわけで配信のタイトルの通り昨日の夜起きたことから今までの出来事をお話しして行こうと思うよ」


【急に配信切れたから気になってたんだよなぁ】

【説明はよ】

【説明会なのに妖2の画面が映ってるのはなぜ】


「説明しながらついでにふく特急周回して行くよ」


【アホなん?】

【事情説明でゲームする奴初めて見たかも】

【前にもこういう奴いたぞ】

【ゲームしながら謝罪配信してた】


「まず配信を切った後に何があったかだね。実はあの後ヘラったガイアが俺んちに突ってきてセヌさんを殺害した。から俺も殺し返した」


【ふぁ?】

【ふぃ?】

【ふ?】

【ふぉ?】

【ふぇがないやり直し】


「まあ神とか天使はめったなことがない限り武力で死ぬことはないから少ししたら復活するんだよね。それでゼウスに電話して連れてってもらって次ガイアをやる人を見つけに行ってた」


【なるほろねぇ】

【その様子配信すればよかったのに】


「ああ。そうだったかもね。でも一人目でめんどくさくてその人にしたからねぇ。それで、そこから少し仮眠とかして、裁判やって。処刑して、ガイアのお墓建てて。今に至る」


【急に雑】

【なるほど、わからん】

【草】

【処刑人どの神?】


「俺が処刑した」


【殺したお前が墓造ったの?】

【どゆことやねん】

【よくそいつの関係者もGOサインだしたなw】


「なんならその関係者に頼まれた。そして、事情説明は終わった。と、いうことでぇ今からぁガイア新任を祝して歓迎会を行います!」

「わぁい!」

「早く肉食べたい」

「焼肉…の隣の寿司が食べたいな」

「よろしくお願いします」


【飯テロじゃねぇか!】

【画面切り替わって全員分のイラストあんのすげぇ】

【ミューズ:私が書きました!】

【みゅーず?】

【誰だよ】


「関係的にはゼウスの娘になる神。芸術とかに秀でている神」

「なあ四季統。もう肉は焼いていいのか?」

「いいよ」

「いっぱい食べる!」


【動きはないけど喜んでるのが声からわかる】

【いいなぁ(´・ω・`)】

【今から出前たのも】

【uberate頼むか】

【事情説明配信がただの飯テロ配信になってて草】

【ちゃんとタイトルも変わってるし】


「セリヌンティウスさんも一緒に食べよぉ」

「いえ私は従者ですので」

「そういうのいいんで一緒に楽しんでもらっていいですか?」


【ブラバしていいかな?】

【カカム:裏山】

【爆裂 ニトロ:なんで呼んでくれないの?】


「いやニトロさんたちは神じゃないからこれないでしょ。それとも今からつうわでも繋いでオンラインでやります?」


【爆裂 ニトロ:それでもいいから!】

【カカム:呼んでほしかった】

【かまってちゃんかな?】

【ニトロさん一応企業勢なんだよな?】

【勝手にコラボしていいのか?】


そういえばニトロさんはVtuberの大手企業であるVストームス。通称Vスト所属なんだよな?あれ。今考えると結構まずくない?

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