新人(神)発掘

場所は移りましてここは裁きの間。ああ神じゃなくて人を裁くの。つまり閻魔のいるところってこと。その中にいい人がいないかを俺とゼウスは探しに来た。遅れてオーディンとハデスも来た。


「うぃーす」

「兄さん遅いよ。兄さんがいないと四季は入れないんだから」

「すまんすまん。少し機材を設置するのにてこずってな」

「もしかして本当に企業造るの?」

「俺は賛成」

「じゃあ僕もかな」

「え、じゃ、じゃあ僕も賛成するしかないじゃん」

「社長はハデス。頼んだw」

「お前がやってくれないか?そういうのにはあんまり詳しくないんだ」

「まあその話は一旦そこの炎で焼却処分しまして。この大量の人の中から善人な女性を探すのか?」

「骨が折れるね」

「違うぞ。こっちだ」


俺たちはハデスの案内について行く。実は天界は4つの層に分かれている。ここは一番下に位置するところで悪魔とかがいる。ハデスが一番偉い。実は神と悪魔は仲がいい。

ついて行くと先ほどの所が見えなくなっていく。あ、ここから床が自動で動いてくれる床だ。なんなら道幅広くて左右にイスがある。だったら椅子だけにすればいいのになんでこんな無駄なことを?


「ここは俺がトレーニングのために使ってるんだ。あれだ、ランニングマシンとか言うのを再現したんだ」

「どうりで結構速いんだな」

「いや、トレーニングの時はこれの1.5倍くらいの速度だ」

「兄さんいつか体壊して代替わりしそうw」

「ストイックだね」

「ゼウス。うるさい」


動く床も終点につく。その奥には何人もの女性が待っていた。


「一応前科が無くて''けいはんざい''とやらが少なくて人を蹴落とすような性格をしていない女を集めといたんだ」

「連絡入れてから30分程度でよくこんなに集めれたね」

「兄さん。女じゃないよ。女性って言うんだ」

「はいはい」

「ここからは俺たちで審査するぞ」

「面接でもしようぜw」

「それ採用だ!早速部屋を作ったぞ」

「はやっ」


神の力なんだろうがプレハブだってのが一目見て分かる見た目だな。でも防音性は高そうだ。


「はぁい!今一番俺たちから見て右の先頭にいる人からそのまま横に行く感じで順番に交代制で部屋に入ってきてください」

「一応言っておくがここにいるのは今日から1週間以内に死んだ者達のみだ」


確か世界の一日の平均死者数が16万人だったはずだから一週間となると112万くらいだな。そこから女性は半分ほど。いや、子供の事も考えると4割と言った所か善人ともなるとさらに減る。1万人いればいい方か?

もし1万いても一人面接どれくらいかかるのだろうか。1分でも1万人なら1万分。何日だ?…うわっ6日と22時間40分?無理だな。でも急遽で集めたらしいからそんなにいないだろう。それよりも今は目の前の人か。


「…志望動機は?」

「いやあなた達が勝手に集めたんですけど?」

「…神になったらやりたいことは何ですか?」

「え、そういう面接なんですか?ええとそうだなぁ。何の神になるかは知らないけどその神にしかできないことで皆を幸せにしたい」

「本音は?」

「神と遊びたい」

「だよねぇ。みんなのためとか面倒だよねぇ」

「そうですよねぇ」

「ハデス。面接面倒だしもうこの人でいいんじゃない?」

「そんな雑でいいのか?」

「僕は別にいいかな」

「僕もいいかな」

「ならいいか」

「採用おめでとう!」

「よし拉致だ!」


俺たちはガイアを現状閉じ込めている牢屋のある場所に飛ぶ。そこではガイアが手はついていないが土下座のような姿勢でなにかをぼそぼそとつぶやいていた。


「いや怖っ」

「えぇ。なんですかこの人」

「これは明日神引退になる大地の女神ガイアと呼ばれる恐ろしい珍獣だよ」

「珍獣扱いw」

「んで、どうするんだ?」

「まず動けなくする」


ゼウスが手の先から電気を出したと思えばガイアが動かなくなった。


「彼女は今呼吸以外ができない状況だ。このように動けなくしてこう」


ゼウスが牢屋の中に入りガイアの頭に触れる。なにかを呟くとガイアの頭から白いほのかに光った球体が出てくる。


「これが神の力。の塊だ」


ゼウスはそれを手の上で浮かし女性の前まで持ってくる。よく見ると中心辺りに茶色のようなものが見える。大地の象徴であろうか


「君はこれを食べるだけ。ちなみに口の中に入れようとすると自動で吸収されるよ」

「そういえば人としての名前は何だったんだ?」

「私は秘山ひやま美瑠那ひるな

「ンデ●?」

「名前のいじりはよくないよ四季。某テレビ番組と一緒にして遊ばない」

「名前的に昼とかけ合わせか?」

「私生まれて割と早いうちに親が死んだので由来とその昼との関係性とかは一切知らないんですよね。もし言われてても忘れてますよ」

「急に重たい話をつぎ込んでくるね」


美瑠那さんはためらいなくゼウスから受け取り白い魂を口に放り込む。

そのすぐに近くの扉が開き何名かの天使と2人の神が現れる。


「この人たちは左からテミス。法と掟の女神だよ。その隣。閻魔大王。みんなも知ってる地獄で裁判している神。複数人で一人だけど出張用の閻魔だよ」

「ああ。7人いるんだっけ?」

「無限にいるよ。だって無限に増えれるから」

「ゼウスさん。そろそろいいか?」

「…そろそろ連れて行きたいのですが」

「ああすまない」


俺はテミスの顔を見た。あまり乗り気ではないように見える。


「なあ、テミスの顔が寂しそうなのはなんでだ?」

「…君は神話をあまり知らないのかい?法と掟を司る女神テミスは天空神ウラノスと大地の神ガイアの子どもだよ」

「…ソ、ソウダッタノカァ」

「血は全然つながってない。なんならテミスの方が神歴先輩だよ。だから後輩として一緒に色々してきたから悲しいんだろうね。でも弁護はしないようだ」


事実上は親子。でもはたから見れば先輩と後輩みたいな関係だったのだろうか。あのガイアもさほど悪い奴には見えなかった。ただ、ただ精神年齢がかなり幼く感じた。きっと幼少のころ死んで神になったのだろう。


「じゃあ明日大地の女神就任おめでとう会開こうぜェ」

「賛成!」

「ついでにリアル配信するか」

「あ、そうだガイア?美瑠那?自分がなりたい姿を想像して。それが君のこれからの姿だから。まあ女神だから男にはなれないけどね」

「あ、じゃあ四季統さんみたいに新しい名前を考えときます。なりたい姿…」

「俺はただ神としての名前を知られたくないだけなんだけどね」


そうして時間は過ぎて午前10時。元大地の女神ガイアの確定有罪裁判が開催される。……裁判って言ってるけど出来レースだし最初からどうなるかは決まってるから処刑方法とかを考えるみたいな感じらしい。今までこの裁判は2回しか執り行われたことがなかったそうだから珍しいものが見れる。今まで裁かれた神はそれぞれ睡眠薬による処刑、首を斬られての二つの処刑があったそうだ。

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